メロペ(読み)めろぺ(英語表記)Merope

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メロペ」の意味・わかりやすい解説

メロペ
めろぺ
Merope

ギリシア神話の女性。(1)アトラスプレイオネの娘、すなわち7人のプレイアデスの1人。自分だけが人間であるシシフォスの妻になったことを恥じ、星になってもその光はもっとも弱い。(2)オイディプス養父であるポリボス王の妃(きさき)。(3)アルカディアの王キプセロスの娘で、メッセニアの王クレスフォンテス(ヘラクレスの後裔(こうえい))の妻。義兄弟のポリフォンテスに夫と子供2人を殺されたうえ、むりやりその妻にされたが、末子アイピトスをひそかに落ち延びさせる。やがて成人した彼が仇討(あだうち)に戻ってきたとき、メロペは敵と勘違いをして危うく殺しかけるが、母子であることを認め合い、協力して仇討を果たす。エウリピデスの『クレスフォンテス』は散逸したが、M・アーノルドに『Merope』の作がある。

[中務哲郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のメロペの言及

【プレイアデス】より

…ギリシア神話で,ティタン神アトラスとプレイオネPlēionē(オケアノス〈大洋〉の娘)の7人の娘,アルキュオネAlkyonē,メロペMeropē,ケライノKelainō,エレクトラĒlektra,アステロペAsteropē,タユゲテTaygetē,マイアMaia(伝令神ヘルメスの母)の総称。彼女たちはその母とともにボイオティア地方の森の中で,狩人のオリオンに5年にわたって追われつづけたため,これを憐れんだゼウスが母娘も追手もともに天に上らせ,オリオンを犬を連れた狩人の星に,娘たちをそのオリオン星から逃れようとする7羽の鳩(古代ギリシア語でペレイアデスpeleiades)の星(和名は昴(すばる))に化したという。…

※「メロペ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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