日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
メーリング(Walter Mehring)
めーりんぐ
Walter Mehring
(1896―1981)
ドイツの詩人、劇作家。ベルリン生まれ。表現主義から出発し、第一次世界大戦後はベルリン・ダダ運動の闘士として、ラジカルな左翼系の「政治キャバレー」を開く。『異端者の祈祷(きとう)』(1921)、戯曲『ベルリンの商人』(1929)など、風刺的なシャンソンや脚本で、ドイツの右傾化、インフレの世相、市民的モラルを痛罵(つうば)した。ナチスの手を逃れ、フランス、のちアメリカに亡命。戦後はスイスに住みながら、回想録スタイルの文芸論『失われた文庫』(1952)、『呪(のろ)われた絵画』(1958)を著した。
[幅 健志]
『野村太郎訳『呪われた絵画』(1962・美術出版社)』