モア(Henry More)(読み)もあ(英語表記)Henry More

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

モア(Henry More)
もあ
Henry More
(1614―1687)

イギリスの哲学者ケンブリッジプラトン学派の代表者の一人。ケンブリッジ大学に学ぶ。昇進公務を避けて学者としての生涯を送った。ウィチコートBenjamin Whichcote(1610―1683)、新プラトン主義神秘主義の影響を受け、知と徳との結合を説く。やがてデカルト哲学に心酔するが、延長を物質のみに認める点に無神論への危険をみて、のちには厳しい批判者となった。彼によれば、物質、精神の両実体とも延長しており、形而上(けいじじょう)学的延長としての純粋空間は神性の表現であるとした。神秘主義的傾向が強いが、当時のピューリタンの宗教的熱狂などは嫌悪した。主著に『無神論に対する解毒剤』(1653)、『霊魂の不死』(1659)などがある。

[小池英光 2015年7月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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