モグラジネズミ(読み)もぐらじねずみ(英語表記)mole shrew

改訂新版 世界大百科事典 「モグラジネズミ」の意味・わかりやすい解説

モグラジネズミ (土竜地鼠)
mole shrew
Anourosorex squamipes

タイ,ミャンマー,中国南部,台湾に分布する,姿がモグラに似た食虫目トガリネズミ科の哺乳類。胴が太く丸く,四肢が短く,モグラほどではないが前足が大きいなど地中トンネルを掘って地下生活するのに適した体をしている。目はごく小さく,尾は短い。耳介は小さいが,閉じて耳孔をふさぎ土などの異物が耳に入るのを防ぐことができる。毛は,ビロード状で腰の部分が目だって長い。全体に暗褐色だが,腹側はやや淡色をしている。体長8.5~11cm,尾長0.7~1.7cm。ふつう標高1500~3100mの山地森林に複雑なトンネル網をつくってすむといわれるが,台湾では畑地や川沿いのやぶ地にも生息する。長く突きでた吻(ふん)を使って落葉腐葉土の間を探り昆虫ミミズなどをとらえる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モグラジネズミ」の意味・わかりやすい解説

モグラジネズミ
もぐらじねずみ
mole shrew
[学] Anourosorex squamipes

哺乳(ほにゅう)綱食虫目トガリネズミ科の動物。半地下性の種で、中国西部、アッサムインドシナ半島、台湾に分布する。頭胴長8.5~11センチメートル、尾長0.6~1.7センチメートルで、尾は痕跡(こんせき)的で細く短くほとんど裸出している。前肢とそのつめはよく発達し、目と耳介はきわめて小さい。毛は柔らかく密で黒色に近い。歯式は

で合計26本。トガリネズミ科のなかではもっとも地下適応した種で、高地の温帯森林にすみ、落葉層、腐植層にトンネルをつくり、ヒミズに似た半地下性の生活をする。昆虫やミミズを主食し、生息数は少なくない。

阿部 永]

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