日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
モダニズム(カトリック教会の改革運動)
もだにずむ
modernism
19世紀末から20世紀初頭にかけてのカトリック教会内部における近代化的改革運動をいう。フランスのロアジ、イギリスのティレルらが代表者。カトリック教会は第1回バチカン公会議(1870)を境に、教義面でも制度面でも集権化の傾向を強めたが、他方、近代思想や学問からの乖離(かいり)も著しくなった。モダニズムはこうした状況下で、たとえばプロテスタント圏で発達した歴史学的方法により聖書を批判的に考察するなど、新しい視点の導入による改革を企てた。教皇ピウス10世(在位1903~14)はこれを不可知論、無神論などとして、回勅(1907)を発して徹底的に攻撃し、代表者の多くは破門された。第一次世界大戦後の状況の変化もあり、外面的には終息したが、その意図は部分的に典礼運動などのなかに継承されている。
[田丸徳善]