モヌメンタゲルマニアエヒストリカ(英語表記)Monumenta Germaniae historica

改訂新版 世界大百科事典 の解説

モヌメンタ・ゲルマニアエ・ヒストリカ
Monumenta Germaniae historica

ドイツ中世史の史料集。略号MGh。プロイセン宰相であったK.R.vom und zumシュタインが,政界引退後,ドイツ民族の統一を悲願とし,1819年ドイツ古史学協会Gesellschaft für ältere deutsche Geschichtskundeを創設,若くしてすぐれた歴史家ペルツGeorg Heinrich Pertz(1795-1876)の協力で編集が開始され,ゲルマン民族に関する紀元500年から1500年までの主要史料を,可能な限り厳密な原典批判を加えて編纂・刊行した。現在においてもなお継続中の,中世史研究上最も基本的な大出版物である。この協会は,当初はシュタインの私的な事業であったが,1871年,ビスマルクの時代に国家的な事業に改組されて,ワイツGeorg Waitz(1813-86),ワッテンバハWilhelm Wattenbach(1819-97),デュムラーErnst Dümmler(1830-1902)等,つぎつぎと一流史家の監修下に業績をあげ,国際的に最高の評価を得て,その遠大な事業は今日もなお続いている。

 《モヌメンタ・ゲルマニアエ・ヒストリカ》の全体は,史料の性格に従って〈史家部Scriptores〉(略号SS),〈法律部Leges〉(略号LL),〈文書部Diplomata〉(略号DD),〈書簡部Epistolae〉(略号EPP),〈古事部Antiquitates〉(略号AA)の5部門に分かれ,各部門がさらにいくつかの小部門から成り,史料批判や編纂の完了したものから逐次公刊されており,フォリオ版とクワルト版がまじっている。このほか一般に需要の多い史家部,法律部部門の一部は,大学における教材用として,オクターブ版の小冊子で出されており,きわめて便利である。現在この大事業がなお続いているため,既刊の全巻数は正確を期しがたいが,各部門を合して約200巻に及んでいる。日本の史料編纂所も,この事業の方針を参考にしている点が多い。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android