モラン(英語表記)Paul Morand

デジタル大辞泉 「モラン」の意味・読み・例文・類語

モラン(Paul Morand)

[1888~1976]フランス小説家・詩人。外交官として世界各地に駐在、異国趣味的コスモポリタニズムに立つ新感覚の作品を書いた。作「夜ひらく」「夜とざす」「恋のヨーロッパ」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「モラン」の意味・わかりやすい解説

モラン
Paul Morand
生没年:1888-1976

フランスの作家。外交官としてヨーロッパの各地に赴き,〈文学の世界旅行者〉たらんとした。詩集アーク灯》(1919)によって文壇に登場したが,コスモポリティスム文学の旗手と目されるようになったのは《三人女》(1921),《夜ひらく》(1922),《夜とざす》(1923)の小説3作によってである。あとの2作は堀口大学によって邦訳され,新感覚派を生んだことは有名。両大戦間の,激しく変貌しつつある世界の描写に優れた手腕をふるった。旅行記,年代記の類も多い。第2次大戦中ビシー政権によってルーマニア大使に任ぜられたため,戦後長く国外にとどまらざるをえなかったが,1968年アカデミー・フランセーズ会員に選出された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モラン」の意味・わかりやすい解説

モラン
Morin, Jean

[生]1591. ブロア
[没]1659.2.28. パリ
フランスの神学者。歴史神学者の一人。ラテン名 Johannes Morinus。カルバン派の家に生れ,ロシェル,ライデンで古典語を学び,パリに移ってローマ・カトリックに改宗。 1618年オラトリオ会士となり,以後ほとんど古代神学聖書原典批判に専念した。『コンスタンチヌス帝のキリスト教会解禁の歴史』 Histoire de la délivrance del'église chrétienne par l'empereur Constantin (1630) はローマを,また改悛の秘跡に関する労作はイエズス会とポール=ロワイヤルの両陣営を怒らせた。聖書研究ではヘブライ語聖書の完全性を否定し,死後まで続く激しい論争を引起した。 45年のパリの多国語対訳聖書のなかに編んだサマリア語訳のモーセ五書タルグムは,この面の研究の先駆である。

モラン
Morand, Paul

[生]1888.3.13. パリ
[没]1976.7.23. パリ
フランスの作家。外交官として 1913年から 44年まで世界各地に駐在するかたわら,短編集『夜ひらく』 Ouvert la nuit (1922) ,『夜とざす』 Fermé la nuit (23) ,『恋のヨーロッパ』L'Europe galante (25) などを発表。スピード感あふれる文体とコスモポリタニズムによって,20年代のフランス文学に新風を吹込んだ。ほかに『恋する狂女』 La Fille amoureuse (56) ,『世紀末』 Fin de siècle (57) ,『愛のへだたり』 Les Écarts amoureux (74) など。アカデミー・フランセーズ会員 (68) 。

モラン
Moran, Edward

[生]1829.8.19. ボールトン
[没]1901.6.9. ニューヨーク
イギリス生れのアメリカの画家。 1845年頃アメリカに渡り,フィラデルフィアで絵を学んだのち,ロンドンロイヤル・アカデミー・スクールに入学。 72年以降ニューヨークに住み,主として海洋画を描いた。『アメリカ海洋史』の挿絵は有名。弟の T.モランやピーター,息子のパーシーとレオンも画家として知られた。

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百科事典マイペディア 「モラン」の意味・わかりやすい解説

モラン

フランスの作家,外交官。《夜ひらく》(1922年),《夜とざす》(1923年)などで,コスモポリティスム文学を代表する作家とみなされた。堀口大学の訳で日本に紹介され,新感覚派に影響を与えた。第2次大戦中ビシー政権によって,ルーマニア大使に任命されたことにより,戦後長く国外にとどまった。

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デジタル大辞泉プラス 「モラン」の解説

モラン

フィンランドの童話作家トーベ・ヤンソンの「ムーミン」シリーズに登場するキャラクター。冷たいオーラで周囲を凍りつかせる魔物の女。

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世界大百科事典(旧版)内のモランの言及

【堀口大学】より

…その翻訳の量と幅広さは他に類を見ない。とくにポール・モランの小説《夜ひらく》の訳出(1924)は,新感覚派出現の契機を作った。【小海 永二】。…

※「モラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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