モリス(Charles William Morris)(読み)もりす(英語表記)Charles William Morris

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

モリス(Charles William Morris)
もりす
Charles William Morris
(1901―1979)

アメリカの哲学者。コロラド州デンバーに生まれる。ウィスコンシン大学およびノースウェスタン大学で学び、シカゴ大学大学院で学位をとる。長くシカゴ大学教授を務めたのち、フロリダ大学教授となる。

 ウィーン学団統一科学運動をシカゴに迎え入れ、ノイラートカルナップとともに『統一科学の国際百科全書』(1938年より刊行、1969年第2巻完結)を編集する。ここで彼は、論理実証主義プラグマティズムという二つの経験主義的理論を統一するものとして「記号論」を提唱した。それは記号間の関係を扱う「統語論」、記号と対象との関係を扱う「意味論」、記号と解釈者との関係を扱う「語用論」の三つに分けられる(『記号論の基礎』1938)。この構想はのちに行動主義の立場から再編成される(『記号・言語・行動』1946)。そのほかに、人間のさまざまな生き方を分類した『人生の道』(1942)、各国の人々の価値観の相違をアンケート調査に基づいて明らかにした『人間の価値の諸相』(1956)などの著書がある。

[魚津郁夫 2015年10月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android