モーセル(May-Britt Moser)(読み)もーせる(英語表記)May-Britt Moser

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

モーセル(May-Britt Moser)
もーせる
May-Britt Moser
(1963― )

ノルウェーの神経科学者。ムーレ・オ・ロムスダール県生まれ。トロンハイム神経計算センター所長。夫は同じ神経科学者のエドバルド・モーセル。

 夫とは高校時代の同級生であり、いっしょにオスロ大学に入り心理学を学んだ。大学時代に結婚して1995年に博士課程を修了するころには2人の娘が生まれていた。1994年に夫とともにイギリスに渡り、ロンドン大学教授ジョン・オキーフの下で研究員となった。1996年にノルウェーに帰国して2000年からノルウェー科学技術大学の教授となった。

 マイブリットは夫と二人三脚で研究を行い、オキーフが1971年に発見した「場所細胞place cell」の機能がどのように活発化するかの研究を発展させた。夫妻は場所細胞の近くにある神経細胞が、動物の行動に従って場所細胞と呼応するように働いていることを発見した(2005)。その細胞が活発になった場所を線で結ぶと格子(こうし)状になることから、それは「格子細胞(グリッド細胞grid cell)」とよばれるようになった。そして、場所細胞と格子細胞が脳内GPS(全地球測位システム)のように働いて居場所目的地への行き方を認知させることを解明した。2014年「脳における空間認知システムを構成する細胞の発見」の業績により、夫のエドバルド・モーセル、ジョン・オキーフとともに、ノーベル医学生理学賞を受賞した。

[馬場錬成 2015年2月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android