モーニエ(Thierry Maulnier)(読み)もーにえ(英語表記)Thierry Maulnier

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

モーニエ(Thierry Maulnier)
もーにえ
Thierry Maulnier
(1909―1988)

フランスの評論家、劇作家。本名ジャック・ルイ・タラグランJacques Louis Talagrand。南仏のアレースに生まれる。高等師範学校卒業後、文学の大学教授資格を取り、新聞界に入る。伝統主義者で右翼運動アクシオン・フランセーズに参加。反共論客となるが、第二次世界大戦中に右翼から離れた。古典的教養と言語感覚に優れ、『ラシーヌ』(1935)、『フランス詩入門』(1939)は名著とされる。戦後、劇作に手を染め、封建体制下の自由人の苦闘を描く戯曲涜神(とくしん)の人』(1950)で成功、『ジャンヌとその審問官』(1952)、『征服者の夜』(1970)、『何もしなかった人』(1983)などを書き、アンドレマルローの『人間の条件』の劇化(1955)にも成功している。ほかに、ニーチェの影響下、西欧文明の唯物化を批判する評論『仮面の神』Le Dieu masqué(1985)がある。アカデミー会員。

岩瀬 孝・伊藤 洋]

『岩瀬孝訳『涜神の人』(『現代世界戯曲選集 フランス篇(二)』所収・1954・白水社)』

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