モーリッツ(ザクセン公)(読み)もーりっつ(英語表記)Moritz

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

モーリッツ(ザクセン公)
もーりっつ
Moritz
(1521―1553)

アルバート系ザクセン公(在位1541~53)。ルター派信仰を抱き、シュマルカルデン同盟に属したが、同盟指導者エルンスト系ザクセン選帝侯ヨハン・フリードリヒに対する反発心から、1546年神聖ローマ皇帝カール5世に忠誠をひそかに誓った。シュマルカルデン戦争が始まると、同盟を裏切ってヨハン・フリードリヒの家領に侵入し、皇帝軍が47年ミュールベルクの戦いで同盟軍を撃破する原因となった。その結果、選帝侯位はモーリッツに移ったが、皇帝が約束の地マクデブルクを与えなかったので、反逆を決意し、新教諸侯、フランス王と同盟し、52年3月皇帝の不意を襲って、これを惨敗せしめた。翌年新教派諸侯との間に内紛を起こし、戦没した。国家の利益を信仰の上に置いた近世領邦君主の典型である。

[瀬原義生]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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