日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤツガシラ(鳥)」の意味・わかりやすい解説
ヤツガシラ(鳥)
やつがしら / 戴勝
hoopoe
[学] Upupa epops
鳥綱ブッポウソウ目ヤツガシラ科の鳥。この科Upupidaeにはヤツガシラ1種しかなく、ユーラシアの南半分およびアフリカで繁殖し、北部のものは冬、南へ移動する。日本には数少ない旅鳥として渡来し、とくに春、対馬(つしま)、九州、南西諸島では比較的記録が多い。1982年(昭和57)長野県で繁殖例が発見された。全長約25センチメートル、嘴(くちばし)は細長くて下に湾曲し、頭には扇状の冠羽がある。体は橙褐色(とうかっしょく)で、背、翼、尾は黒くて白線がある。耕地、芝生、草地などにすみ、地上を歩いて昆虫などをとる。ふわふわした羽ばたきで飛ぶ。樹洞、建造物のすきま、石垣の空間などに産卵する。ポポ、ポポと鳴く。
[高野伸二]