日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤン(3世)」の意味・わかりやすい解説
ヤン(3世)
やん
JanⅢ
(1629―1696)
ヤン・ソビェスキJan Sobieskiともいう。ポーランド王(在位1674~96)。有能な軍司令官として、オスマン・トルコ帝国軍との戦争で活躍したため、国王に選出された。初めトルコとの有利な講和を結ぼうとしたが、果たさず、オーストリアと結んで、トルコに対抗した。1683年ウィーンがトルコ軍に包囲されたとき、自らポーランド軍を率いてトルコ軍を撃退し、ヨーロッパに対するトルコの脅威を最終的に終わらせ、全キリスト教世界の称賛を受けた。その後、神聖ローマ帝国、教皇、ベネチア共和国、ロシアとの間に神聖同盟を結び、トルコに対抗したが、モルダビアの遠征には失敗した。内政面では王権の強化に努めたが失敗し、国政の混乱を収拾することはできなかった。
[安部一郎]