ユウレイクラゲ(英語表記)Cyanea nozakii

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユウレイクラゲ」の意味・わかりやすい解説

ユウレイクラゲ
Cyanea nozakii

刺胞動物門鉢虫綱旗口クラゲ目ユウレイクラゲ科。傘はほとんど扁平で,直径 15~30cm,ときに 50cmにもなる。無色あるいは白色であるが,褐色斑点が散在する。傘縁には 16個の弁と 8個の感覚器があり,全縁にわたって多くの触手が出ている。4個の口腕は複雑なひだ状になっていて幅が広く,中央に口が開く。放射管は網目状になる。本州中部以南に分布し,夏に瀬戸内海に多産する。瀬戸内海各地ではハゲトベとかマエデなどと呼び,カワハギ釣餌に用いる。近縁のキタユウレイクラゲ C. capillata は巨大で,直径が 2m,触手の長さは 30m以上になる。北極海海域,北大西洋,北太平洋に分布し,日本では寒流の影響の強い東北地方や北海道で見られる。(→クラゲ刺胞動物鉢虫類無脊椎動物

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改訂新版 世界大百科事典 「ユウレイクラゲ」の意味・わかりやすい解説

ユウレイクラゲ (幽霊水母)
Cyanea nozakii

ハチクラゲ(鉢水母)綱ユウレイクラゲ科の腔腸動物(刺胞動物)。瀬戸内海ではハゲトベ,マエデなどと呼ばれる。夏に瀬戸内海に多いが,冬に相模湾でとれることがある。傘は直径15~30cmの扁平な円盤状で乳白色,上面に褐色の斑点が散在する。傘の縁は16個の縁弁に分かれ,全縁から多くの触手がでており,正軸と間軸に合計8個の感覚器をもっている。下傘の中央に口があり,口を中心にして幅が広く複雑なひだになっている4本の口腕がある。刺胞毒は強くない。放射管は縁弁内で複雑な網状になっている。生殖腺は黄色く,複雑で生殖腺下腔に突き出ている。カワハギ類の釣餌に用いられる。
クラゲ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユウレイクラゲ」の意味・わかりやすい解説

ユウレイクラゲ
ゆうれいくらげ / 幽霊水母
[学] Cyanea nozakii

腔腸(こうちょう)動物門ハチクラゲ綱旗口(はたくち)クラゲ目ユウレイクラゲ科に属する海産動物。傘(かさ)は直径30センチメートル以上に達する大形の扁平(へんぺい)な円盤状である。外傘(がいさん)は無色または白色で、その上に褐色の斑点(はんてん)が散在している。傘縁には16個の縁弁と8個の感覚器が存在する。下傘には口があり、それを取り巻くようにして複雑なひだをもつ幅の広い口腕(こうわん)が垂れ下がっている。本州中部以南の海岸で夏期に普通にみられ、ウマヅラハギの釣り餌(え)として利用される。本種と近縁のキタユウレイクラゲC. capillataは東北地方や北海道の、寒流の影響の強い沿岸に産し、本種と比べてきわめて大形である。

[山田真弓]

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世界大百科事典(旧版)内のユウレイクラゲの言及

【クラゲ(水母)】より

…傘の中には半透明な中膠が厚く充満しているが,タコクラゲなどでは中膠内に藻類が共生していて褐色になっている。傘の縁には触手が16,40から数百本もあり,ユウレイクラゲ(イラスト)では長さが数mにもなる。しかし,なかには触手を全然もっていないものもある。…

※「ユウレイクラゲ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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