ヨロイトカゲ(読み)よろいとかげ(英語表記)girdle-tailed lizard

改訂新版 世界大百科事典 「ヨロイトカゲ」の意味・わかりやすい解説

ヨロイトカゲ (鎧蜥蜴)
girdle-tailed lizard

ヨロイトカゲCordylidaeに含まれる堅い鱗板をもつトカゲ類総称。54種ほどが北部を除くアフリカに分布する。小型のものは全長13~15cm,大型のものは40~70cmに達する。全身が皮骨をもった堅い板状の体鱗に覆われる。おもに昆虫類を食べる。代表的なものはアフリカの東・南部に分布するヨロイトカゲ属Cordylusの12種で,背面はとげ状の鱗板で覆われ,とくに後頭部や頸部(けいぶ)では鋭いとげ状となり,また尾部全体が発達したとげに覆われ,自衛の武器となる。オオヨロイトカゲC.giganteusは全長30~40cm,卵胎生で,ネズミ類が掘った穴を巣穴とし2頭ほどの大きな子を生む。アルマジロトカゲC.cataphractusは全長約25cm,追い詰められると尾の先をくわえ,輪のようにまるくなって腹部を守る。プレートトカゲ属Gerrhosaurusは,いわゆるトカゲ形で胴はやや扁平,最大種は全長70cmに達する。カタヘビトカゲ属Chamaesauraは全長約50cm,尾はその3/4をこえるヘビ形で,四肢は痕跡的。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨロイトカゲ」の意味・わかりやすい解説

ヨロイトカゲ
よろいとかげ
girdle-tailed lizard

爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目ヨロイトカゲ科に属するトカゲの総称。この科Cordylidaeの仲間は、約10属54種がサハラ砂漠以南のアフリカに分布し、大形は全長40~70センチメートル、小形は13~15センチメートルぐらいである。皮骨を備えた堅い鱗板で全身を覆われ、アルマジロトカゲCordylus cataphractusなどヨロイトカゲ属の背鱗は隆条が棘(とげ)状となり、とくに後頭部や尾部は鋭い棘で守られる。大形のオオヨロイトカゲC. giganteusは卵胎生で、ネズミ類の掘った穴に、約10センチメートルの大きな子を2頭ほど産む。カタヘビトカゲ属Chamaesauraはヘビ型で尾が長く、四肢は痕跡(こんせき)的である。

[松井孝爾]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨロイトカゲ」の意味・わかりやすい解説

ヨロイトカゲ
Cordylus cordylus; girdle-tailed lizard

トカゲ目ヨロイトカゲ科。体長 20cmぐらい。体は緑褐色ないし黒褐色。全体にとげのある鱗でおおわれ,特に頸部の側面や尾でとげが著しい。南アフリカからエチオピアまでのアフリカ東部,南部に広く分布する。岩山に好んですみ,昆虫やミミズなどを食べる。危険が迫ると,岩のすきまに逃げ込んで外向きに尾を振り動かし,鋭いとげで敵を撃退する。なお,ヨロイトカゲ科 Cordylidaeは北部を除くアフリカに 50数種が生息し,いずれも全身が硬い板状の鱗でおおわれている。

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