ヨーク(公)(読み)ヨーク[こう](英語表記)York, Richard, 3rd Duke of

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨーク(公)」の意味・わかりやすい解説

ヨーク(公)
ヨーク[こう]
York, Richard, 3rd Duke of

[生]1411.9.21.
[没]1460.12.30. ヨークシャー,ウェークフィールド近郊
イングランド王位要求者。エドワード4世リチャード3世の父。初代ケンブリッジ伯リチャードとアン・モーティマーの子。伯父の2代ヨーク公エドワードを継いで3代ヨーク公となり,母方の叔父エドマンド・モーティマーからマーチ伯,アルスター伯を譲られて広大な土地を領有,最有力貴族となった。ヘンリー6世が精神に障害をきたしたとき (1453) 摂政になり,血統による王位継承の優先権を主張,ヘンリー6世の回復とともに王との妥協が成立。王死後の王位を約束されたが,王子の廃嫡に不満の王妃マーガレットサマセット (公)エドマンド・ボーフォートらランカスター派との抗争が生じ (→バラ戦争 ) ,1460年 12月 30日ウェークフィールドで包囲され,殺害された。王位への要求は,長男エドワード4世によって実現した。

ヨーク(公)
ヨーク[こう]
York, Edward, 2nd Duke of

[生]1373頃
[没]1415.10.25. アザンクール
イングランド王エドワード3世の孫。初代ヨーク公エドマンド・オブ・ラングリーの長男。リチャード2世寵臣で,重く用いられたが,ヘンリー4世の即位後はこれに仕え,1402年王の代理としてアキテーヌに駐在中,父の死により2代ヨーク公となる。 05年の反王陰謀の容疑で一時投獄されたがまもなく釈放され,百年戦争に参加してアキテーヌに行き,アザンクールの戦い戦死。彼はまたイングランド最古の狩猟書『狩猟の名人』 Master of Gameの著者でもある。

ヨーク(公)
ヨーク[こう]
York, Edmund of Langley, 1st Duke of

[生]1341.6.5. キングズラングリー
[没]1402.8.1. キングズラングリー
イングランド王エドワード3世の第5子,ヨーク家創始者。本名エドマンド・オブ・ラングリー。妻はカスティリア=レオン王ペドロ1世の娘イザベル。1362年ケンブリッジ伯,1385年ヨーク公となる。平凡な人物で,しばしば大陸遠征したが成果はなく,またランカスター公ヘンリーが 1399年リチャード2世を廃して即位し,ヘンリー4世を称したときも抵抗することなくこれを承認した。

ヨーク(公)
ヨーク[こう]
York (and Albany), Frederick Augustus, Duke of

[生]1763.8.16. ロンドン
[没]1827.1.5. ロンドン
イギリスの軍人。国王ジョージ3世の次男。 1780年陸軍に入り,81~87年ハノーバーで軍事教育を受け,84年陸軍中将に昇進,ヨークおよびオールバニ公に叙せられた。 93~95年フランドル派遣軍司令官,95年陸軍元帥,98~1809年イギリス陸軍総司令官,1799年オランダに遠征。軍事上の功績には顕著なものが認められなかったが,兵士の福祉のための種々の改革を行い人気を得た。今日の陸軍大学校や陸軍士官学校の前身となった軍人養成学校の創立者としても知られている。

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