ラッカ(英語表記)Raqqa

デジタル大辞泉 「ラッカ」の意味・読み・例文・類語

ラッカ(Raqqa)

シリア北部の都市。ユーフラテス川中流域に位置する。紀元前3世紀のセレウコス朝時代の古代都市に起源し、東ローマ帝国ウマイヤ朝アッバース朝支配を経て発展。13世紀にモンゴル帝国攻撃を受けて衰退した。20世紀半ばより農業が盛んになり、同地方の主要都市の一つになった。12世紀から13世紀にかけて築かれた城壁、バグダッド門などが残っている。

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改訂新版 世界大百科事典 「ラッカ」の意味・わかりやすい解説

ラッカ
Raqqa

シリア北部,ユーフラテス川東岸の都市。人口約3万5000。ギリシア名はニケフォリオンNikēphorion,のちセレウコス2世の名にちなみカリニコスKallinikos。アッバース朝第2代カリフマンスールが772年に円形の都城アル・ラフィカAl Rafiqaを建設。カリフ,ハールーン・アッラシードの〈夏の宮〉の所在地として,またビザンティン帝国への前哨基地として知られたが,13世紀のモンゴル侵寇によって廃墟と化す。おもな遺構は,城壁,バグダード城門,ダマスクスのウマイヤ・モスクをモデルとしたマンスールのモスク(12世紀に再建)のファサードとミナレット,ハールーン・アッラシードの〈平和宮〉のイーワーンなど。また,ラッカは9~13世紀の単彩釉,ラスター彩,多彩釉,青釉黒彩文,ラカビー手陶器などの重要な窯場であった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラッカ」の意味・わかりやすい解説

ラッカ
Ar-Raqqah

シリア北東部,ラッカ県県都アレッポ東方約 180km,ユーフラテス川左岸に位置する。ギリシア・ローマ時代の古代都市の上にあり,商業都市として栄えたが,アッバース朝時代には,西方ビザンチン帝国への前線基地本部として重要な役割をもっていた。現在は旧都市の外縁部が小さな商業中心地となっており,四方への連絡道路の分岐点である。人口 13万 (1992推計) 。

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