日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ラベル(Louis Lavelle)
らべる
Louis Lavelle
(1883―1951)
フランスの哲学者。南フランスのビュレアルで生まれる。1909年哲学の教授資格を得た。1916年より第一次世界大戦に2年間従軍し、捕虜生活もした。1932~1934年ソルボンヌ大学(パリ大学)、1941年よりコレージュ・ド・フランスの教授となり、1947年よりアカデミーの会員に選出された。現代において形而上(けいじじょう)学を問い直し、「分有」(パルティシパシオン)の哲学を主張、人間性とモラルの回復を呼びかけた。実存として不安と虚無を超えて存在についての信頼が取り戻されるべきであるとし、「存在の優位」と、自由に基づく「存在の分有」の行為を説いた。『永遠の現在の弁証法』全5部(1928~1955)、『自我の意識』(1933)、『全体的現前』(1934)、『価値論』全2部(1951~1952)などがある。
[池長 澄 2015年6月17日]