日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ラマン(Chandrasekhara Venkata Raman)
らまん
Chandrasekhara Venkata Raman
(1888―1970)
インドの物理学者。光の散乱に関する「ラマン効果」の発見者。南インドのトリチノポリ(現、ティルチラーパリ)で物理学教師の子として生まれ、マドラス(現、チェンナイ)の大学に学ぶ。カルカッタ(現、コルカタ)で大蔵省に勤めるかたわら研究を続け、1917年カルカッタ大学の物理学教授となる。光学と音響学の分野で多くの業績を残した。1928年、溶液の光散乱において散乱光の中に入射光と異なる波長の光が含まれてくる現象(ラマン効果)を発見した。これは量子論の実験的証明の一つとなるとともに、分子の構造とそのエネルギー状態に関するその後の研究に大きな影響を与えた。この業績により、1930年インドはもとより、アジアで最初のノーベル物理学賞を受賞した。1948年以後、ラマン自身が寄付をして設立したラマン研究所の所長。また1926年にはインド物理学誌を刊行、インド科学アカデミーも彼が創立し初代会長となった。科学雑誌を出版するなどインドにおける科学の普及に努めた。
[常盤野和男]
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