ラムゼー(Norman Foster Ramsey)(読み)らむぜー(英語表記)Norman Foster Ramsey

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ラムゼー(Norman Foster Ramsey)
らむぜー
Norman Foster Ramsey
(1915―2011)

アメリカの物理学者。ワシントン市に生まれる。コロンビア大学で数学と物理学を学び、1935年に卒業、ケンブリッジ大学に留学ののち、コロンビア大学でラービの指導を受ける。第二次世界大戦中はマサチューセッツ工科大学MIT)でレーダー開発に従事、のちマンハッタン計画(原子爆弾開発計画)にも参加した。終戦後、教授としてコロンビア大学に戻ったが、1947年ハーバード大学に移り分子線研究室を創設、1986年まで務めた。

 分子線を利用して核磁気共鳴四極子モーメントなどの研究を行い、それらを精密に測定する方法(分離振動場法またはラムゼー共鳴法とよばれる)を発明した。この方法により、分子線の高分解能分光を得ることが可能となり、原子周波数が高精度で測定できるようになった。さらに水素原子線メーザーの開発に成功した。この気体メーザーはきわめて精度の高い発振器で、周波数を10-12のレベルで測定可能となり、原子時計に応用されるようになった。これらの業績により、1989年にノーベル物理学賞を受賞、イオン捕捉(ほそく)技術を開発したデーメルトパウルとの同時受賞であった。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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