精選版 日本国語大辞典 「ラムゼー」の意味・読み・例文・類語
ラムゼー
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イギリスの化学者。希ガス類の発見者として著名。グラスゴーで生まれ,当地の大学や研究所で学んだのち,1870年チュービンゲン大学に留学し,フィティヒR.Fittig(1835-1910)の有機化学研究室でニトロトルイル酸の研究を行い,19歳で学位を得た。帰国後,グラスゴーのアンダーソン・カレッジ助手となり(1874),ピリジン誘導体の研究など,有機化学分野の研究を行った。80年にブリストル大学教授になり,化学量論や熱力学の研究,助手ヤングS.Youngとともに液体の蒸気圧や臨界状態の研究など物理化学的研究を行い,実験技術の改良も進めて,彼ののちの研究の基礎をこの時代に築いた。87年から1912年までロンドン大学教授。この間,はじめはジケトン類やエチレンの錯化合物の研究などを行ったが,その後,希ガス類の研究に入った。その契機となったのは,空気から得られた窒素がアンモニアからの窒素より大きい密度を示すことを報告したレーリーの論文であった。1894年に助手ウィリアムズP.Williamsの協力を得て,空気からの窒素を高温マグネシウムで処理して得られた残存気体から未知の元素アルゴンを発見した。さらに,あるウラン鉱石を加熱して得られる不活性ガスをスペクトル分析して,それが太陽に存在することが知られていたヘリウムであることを確認し,96年にアルゴンとヘリウムの関連を考察して周期律表中に既知の七つの族以外の新元素群があることを示唆した。その後,トラバーズM.Traversとともに液体空気の分留によって未発見の希ガス元素,クリプトン,ネオン,キセノンを98年に発見し,諸性質を研究した。最後の希ガス元素ラドンは放射性物質で,臭素化ラジウムから得られた試料からグレーW.Grayとともに1912年に確認し,ラジウムがラドンとヘリウムに変化することを発見して放射性物質壊変説を出した。1904年にノーベル化学賞を受けた。
執筆者:和田 武
イギリスの数学者,論理学者,哲学者。ケンブリッジ大学を卒業後,21歳でケンブリッジ大学のキングズ・カレッジのフェローとなり,論理学,哲学,経済学の分野で大きな足跡を残したが,夭折した。ラムゼーの主要な関心は,哲学,および数学,論理学の領域であり,数学基礎論において,B.A.W.ラッセル,A.N.ホワイトヘッド,L.ウィトゲンシュタインの残したいくつかの問題を解決した。この分野での業績は《数学基礎論》(1931)にまとめられている。またこの書物中の確率に関する業績は,後のJ.vonノイマンやO.モルゲンシュテルンの効用や主観確率についての貢献に影響を与えた。ラムゼーはまた,若いころから経済学者と親交をもち,数理経済学の分野でも大きな業績を残した。論文《貯蓄の数学理論》(1928)は,さまざまの条件下での動学的最適貯蓄計画を分析したもので,現代における動学的最適計画問題および最適成長論を先取りしたものである。J.M.ケインズはこの論文について,〈その内容の重要性とその問題の困難さという二つの観点から,数理経済学の分野でなされた最も驚嘆にたえない業績の一つ〉といっている。一方,《租税理論への一貢献》は最適な物品税体系を初めて数学的に明らかにした業績で,現代の最適課税,最適料金理論の先駆的業績である。
執筆者:奥野 正寛
英国国教会の聖職者,カンタベリー大主教。ケンブリッジ出身。リンカン神学校副校長(1930-36),ダラム大学神学教授を経て,1950年ケンブリッジの欽定神学講座担当教授。2年後ダラム主教に選ばれ,ヨーク大主教を経て,61年第100代カンタベリー大主教に就任,聖公会とローマ・カトリック教会の話合いを促進した。79年,立教大学のウィリアムズ主教記念講座の第1回講師として来日。著書は《キリストの甦り》(1944)ほか多数。
執筆者:八代 崇
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… さて,こうした貸本業のはしりは18世紀の大衆文芸の発達をもってはじまる。1726年詩人で,書籍商でもあったラムゼーAllan Ramsay(1686‐1758)が,エジンバラの町にはじめたのを最初とするが,すでに17世紀のロンドン市中では,書籍商が自家の蔵書を貸し出していたともいわれる。日本での貸本業が城崎のような湯治場と無縁でなかったように,イギリスにおいてもローマ支配時代からの温泉場バース(文字どおり温泉の意)をはじめとする保養地には欠かせないものとして栄える。…
… さて,こうした貸本業のはしりは18世紀の大衆文芸の発達をもってはじまる。1726年詩人で,書籍商でもあったラムゼーAllan Ramsay(1686‐1758)が,エジンバラの町にはじめたのを最初とするが,すでに17世紀のロンドン市中では,書籍商が自家の蔵書を貸し出していたともいわれる。日本での貸本業が城崎のような湯治場と無縁でなかったように,イギリスにおいてもローマ支配時代からの温泉場バース(文字どおり温泉の意)をはじめとする保養地には欠かせないものとして栄える。…
…周期表元素記号=Xe 原子番号=54原子量=131.29±3安定核種存在比 124Xe=0.096%,126Xe=0.090%,128Xe=1.919%,129Xe=26.44%,130Xe=4.08%,131Xe=21.18%,132Xe=26.89%,134Xe=10.4%,136Xe=8.87%融点=-111.9℃ 沸点=-107.1℃気体の密度=5.85g/l(0℃,1気圧)液体の比重=3.52(-109℃)固体の比重=2.7(-140℃)臨界温度=16.538℃ 臨界圧=57.64気圧水に対する溶解度=21.80ml/100ml(0℃),11.09ml/100ml(20℃),8.78ml/100ml(50℃)電子配置=[Kr]4d105s25p6 おもな酸化数=0周期表第0族に属する希ガス元素の一つ。1898年7月,イギリスのW.ラムゼーとトラバースMorris William Traversは液体空気を分留し,クリプトンKr,ネオンNeを除いた最後の部分に沸点の低い,重い気体の新元素を発見した。ギリシア語のxenos(異国の)にちなんでキセノンと命名した。…
…周期表元素記号=Kr 原子番号=36原子量=83.80安定核種存在比 78Kr=0.354%,80Kr=2.27%,82Kr=11.56%,83Kr=11.55%,84Kr=56.90%,86Kr=17.37%融点=-156.6℃ 沸点=-152.3℃気体の密度=3.74g/l(0℃,1気圧)液体の比重=2.155(-153℃)臨界温度=-63.8℃ 臨界圧=54.3気圧水に対する溶解度=11.05ml/100ml(0℃),6.26ml/100ml(20℃),3.75ml/100ml(60℃)電子配置=[Ar]3d104s24p6 おもな酸化数=0周期表第0族に属する希ガス元素の一つ。1898年5月,イギリスのW.ラムゼーとトラバースMorris William Traversは,液体空気を分留してアルゴンArをとり出した後に残る液体から,重い気体の新元素を発見し,ギリシア語のkryptos(隠れたもの)にちなんでクリプトンと命名した。空気中の含有量は1.1×10-4体積%。…
※「ラムゼー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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