日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ラロ(Édouard Lalo)
らろ
Édouard Lalo
(1823―1892)
フランスの作曲家。スペイン系。生地リールの音楽院でバイオリンとチェロを学んだのち、パリ音楽院に学ぶ。最初はおもに室内楽を発表するが成功せず、1855年以後弦楽四重奏団員としてバイオリンあるいはビオラを演奏。72年に作曲した管弦楽のためのディベルティメントでようやく作曲家として認められ、スペインのバイオリン奏者サラサーテの依頼で作曲したバイオリン協奏曲ヘ長調(1874)、バイオリンと管弦楽のための『スペイン交響曲』(1875)によって名声を確立した。このほか『ノルウェー狂詩曲』(1879)、チェロ協奏曲ニ短調(1876)など弦楽器独奏と管弦楽による協奏的作品で、華麗な技巧と豊かな表情、色彩感とを融合するのに成功した。82年パリ・オペラ座でバレエ『ナムーナ』を初演、88年にはオペラ・コミック座で『イスの王』を初演、とくに後者は高い評価を与えられたが、その他の舞台音楽は成功には至らなかった。パリに没。
作曲家としては、とくにオーケストラから色彩豊かな響きを引き出す点でベルリオーズを継承、一方ロマン性にあふれた表情の点でシューマンの影響を受けた。またスペインの舞曲のリズムを巧みに、生き生きと自分の作品のなかで用いるなど、生気にあふれた表現を目ざした。彼の息子ピエール・ラロ(1866―1943)は、有名な音楽批評家になった。
[美山良夫]