日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ランサム(John Crowe Ransom)
らんさむ
John Crowe Ransom
(1888―1974)
アメリカの批評家、詩人。テネシー州出身。初めて教鞭(きょうべん)をとったバンダービルト大学でフュージティブ・グループを結成し南部文芸復興の一翼を担った。1937年にはケニオン大学教授になり、『ケニオンレビュー』誌編集にもあたった。1941年の著作『ニュー・クリティシズム(新批評)』によって彼を中心とする批評運動はこの書名でよばれるようになった。『詩、その存在論的考察』(1934)では、詩は単なる感傷表現ではなく認識論的次元のなかで独自に成立すると主張し、またテクスチュア、ストラクチュアという区分を用い、その後の批評用語として定着させた。批評論集には『世界の実体』(1938)が、詩集には『神について』(1919)、『詩選集』(1945)などがある。
[森 常治]
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