リネン(Feodor Lynen)(読み)りねん(英語表記)Feodor Lynen

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

リネン(Feodor Lynen)
りねん
Feodor Lynen
(1911―1979)

ドイツの生化学者。ミュンヘン大学でH・ウィーラント師事、1953年同大学教授。1954年からマックス・プランク細胞化学研究所所長。活性酢酸酢酸補酵素A(coenzyme A)とのチオエステルCH3-COSCoAであることを発見し、アセチル補酵素Aが関与する多くの代謝経路と酵素を明らかにした。すなわち、リネンサイクルとよばれる脂肪酸のβ(ベータ)酸化の機構を解明し、脂肪酸の長い鎖の合成を触媒する多酵素複合体を酵母より分離した。また脂質代謝ビオチンが果たす役割を明らかにし、コレステロールや脂質の生合成研究も行った。K・ブロッホとは独立に研究したが、彼らの仕事は互いに補い合いコレステロールと脂肪酸研究に貢献した。1964年、ブロッホとともにノーベル医学生理学賞を受賞した。

[石館三枝子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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