日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
リヒター(Adrian Ludwig Richter)
りひたー
Adrian Ludwig Richter
(1803―1884)
ドイツの画家、版画家、挿絵画家。ドレスデンに版画家カール・アウグストCarl August R.(1770―1848)の子として生まれ、父に版画を学ぶ。出版社の奨学金を受けてイタリアに赴き、同地でコッホJoseph Anton Koch(1768―1839)について油彩を学ぶ。1836年ライプツィヒの出版社と契約を結び、60年代までに2500点に近い挿絵を制作した。それらは主としてドイツの民話・童話に取材した木版画で、ユーモアを交えた優雅な作風は、19世紀におけるもっとも国民的な画家として広くドイツの家庭で親しまれた。油彩では、イタリアとドイツの細密な風景を描いた。回想録『あるドイツ画家の思い出』(1885)がある。ドレスデンで没。
[野村太郎]