リヒター(Burton Richter)(読み)りひたー(英語表記)Burton Richter

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

リヒター(Burton Richter)
りひたー
Burton Richter
(1931―2018)

アメリカの物理学者。ニューヨークに生まれる。マサチューセッツ工科大学MIT)で物理学を学び、1952年に卒業、1956年同大で理学博士号を取得した。その後、スタンフォード高エネルギー物理学研究所に入所、1963年スタンフォード線形加速器研究所(SLAC:Stanford Linear Accelerator Center)に移り、1967年にはスタンフォード大学教授となった。1984年にSLACの所長に就任している。1975年にジュネーブのヨーロッパ原子核研究機構(CERN(セルン))に行き、1年間研究した。

 MIT在学時代には加速器サイクロトロンを用いて水銀アイソトープの同位体交換や微細構造を研究した。やがて、素粒子物理学に興味を抱き、スタンフォード高エネルギー物理学研究所でγ(ガンマ)線による電子・陽電子対の研究を行った。その後、SLACにおいて高エネルギー電子・陽電子衝突装置(SPEAR:Stanford Positron Electron Asymmetric Ring)を設計、建設し、素粒子の研究を続けた。1974年に新種の重い素粒子発見、ψ(プサイ)粒子と名づけたが、この粒子は4番目のクォークであるチャームクォーク存在を実験的に証明するものであった。ほぼ同時にティンが同じ粒子を発見してJ粒子と名づけていたため、のちにJ/ψ粒子とよばれた。「新種の重い粒子(J/ψ粒子)の発見」により、1976年ティンとともにノーベル物理学賞を受賞した。

[編集部 2018年8月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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