日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
リヒター(Jeremias Benjamin Richter)
りひたー
Jeremias Benjamin Richter
(1762―1807)
ドイツの化学者。ヒルシュベルク(現、ポーランドのイェレニャ・グラ)の商人の子。1778年軍の土木部隊に入隊、化学を独学。1785年ケーニヒスベルク大学入学、数学を学ぶ(1789年、博士)。ブレスラウの鉱山局(1795)やベルリン磁器製作所(1798)に化学技術者として勤務。化学結合における量的割合測定に精励し、化学量論という概念を提唱した。『化学量論の基礎』(1792~1794)において、一定量の塩基を中和する酸量とその逆の値を求めた。また、二つの中性塩が中性の他の塩に複分解し、前者から後者の組成が算出できることも示した。ここには定比例の法則が含まれており、中和表は最初の当量表であった。この重要性は、フィッシャーErnst Gottfried Fischer(1754―1831)の紹介(1802)により認められるようになった。
[肱岡義人]
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