日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
リュードベリ(Abraham Viktor Rydberg)
りゅーどべり
Abraham Viktor Rydberg
(1828―1895)
スウェーデンの作家。長い新聞記者生活の間に『バルト海の海賊』(1857)、キリスト教と異教の対立を扱った『最後のアテナイ人』(1859)を連載小説として発表した。彼自身「最愛の子」とよんだ代表作『シンゴアッラ』(1857)は書き下ろしで、中世を舞台に騎士とロマ(かつてはジプシーとよばれた)の娘の恋を扱ったロマンチックな物語。『刀鍛冶(かたなかじ)』(1891)は晩年の作。ほかに詩集、ゲーテの『ファウスト』の翻訳(1875)が知られる。国会議員、アカデミー会員、ストックホルム大学教授の職にもあった。スウェーデン・ロマン主義の掉尾(とうび)を飾る巨匠といわれる。
[田中三千夫]