リラ(楽器)(読み)りら(英語表記)lyra 英語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リラ(楽器)」の意味・わかりやすい解説

リラ(楽器)
りら
lyra 英語
lyre 英語
lyra フランス語
lyre フランス語
Leier ドイツ語
lira イタリア語

古代ギリシアの撥弦(はつげん)楽器。亀(かめ)の甲らまたは木製の浅い鉢に牛の皮をかぶせた共鳴胴をもち、その両端から上方に2本の湾曲した角(つの)または木製の腕を立て、その腕に横木を渡して横木から共鳴胴に弦を張ったものが基本形であるが、異形も多い。七弦琴ともよばれるが、弦数は3~12で、時代が下るにつれて増える。先行する同類で大形のキタラが専門家の楽器であったのに対し、リラはアマチュアに愛好された。ギリシア神話ヘルメスアポロンに捧(ささ)げた楽器としても知られている。

 C・ザックスは、胴と2本の腕、横木からなる弦鳴楽器をリラ属と称したが、このうち、2本の腕の長さが違い、横木が斜めのものの起源は紀元前3000年ごろのシュメールにさかのぼれる。ギリシアのリラのように対称形のリラは、前1000年ごろにアジアから伝えられた。

 なお「リラ」という名称は、トルコのケメンチェに似た中世の弓奏弦楽器や、ハーディ・ガーディ、枠の形がリラに似た行進用の鉄琴ベル・リラにも用いられている。

[前川陽郁]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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