日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
リンダール(Erik Robert Lindahl)
りんだーる
Erik Robert Lindahl
(1891―1960)
スウェーデンの経済学者。ルンド大学に学び、1920年以降ウプサラ、イョーテボリ、ルンド各大学の教授を歴任。J・G・K・ウィクセルの後継者であり、K・G・ミュルダールと並ぶ北欧学派の代表的な経済学者である。リンダールは、ウィクセルが展開した累積過程の分析手法を発展させ、時間の経過とともに変動する経済を継起的にとらえる継起分析を開拓した。利子理論では、ウィクセルの自然利子率の概念を排して貨幣利子率を重視し、それと物価との関連を分析し、さらに雇用量や産出量との関連にも拡張して、動態的なマクロ経済分析を発展させるとともに、予想概念の重要性を強調してそれを経済変動理論に導入した。また、リンダールは、財政学の分野では、政府によって供給される公共サービスの限界効用に関連づけて租税負担を決定するという、一種の利益説を提唱した学者として知られている。主著は『課税の公平』(1919)、『貨幣および資本理論の研究』(1939)など。
[志田 明]
『原正彦訳『貨幣及び資本理論の研究』(1962・文雅堂銀行研究社)』