日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
リース(Adam Guy Riess)
りーす
Adam Guy Riess
(1969― )
アメリカの天文学者。ワシントンDC生まれ。1992年マサチューセッツ工科大学(MIT)卒業、1996年にハーバード大学で博士号取得。カリフォルニア大学バークリー校特別研究員、アメリカ宇宙望遠鏡科学研究所研究員などを経て、2006年よりジョンズ・ホプキンズ大学教授となる。2011年に「遠方の超新星観測を通した宇宙膨張加速の発見」の業績により、カリフォルニア大学バークリー校のソール・パールマッター、オーストラリア国立大学のブライアン・シュミットとノーベル物理学賞を共同受賞した。シュミットとリースは、同じ超新星観測プロジェクトチームHigh-z Supernova Search Teamに参加していた。
従来は、宇宙が膨張するその果てでは、膨張速度が衰えていくと推測されていた。1998年、シュミットとリースらの研究チームは、Ⅰa型(いちえーがた)超新星の観測から宇宙の膨張は急加速で勢いを増していくことを解明し、その観測結果を発表した。同じ1998年、パールマッターのプロジェクトチームも同様の観測から同様の結論を報告していた。宇宙が膨張する速度は、宇宙の約70%を占める暗黒エネルギーに起因しているとの説について、リースは「この暗黒エネルギーを追求していくことが宇宙論と物理学における最大の研究課題である」とジョンズ・ホプキンズ大学のウェブサイトで語っている。
[馬場錬成]