リール(Wilhelm Heinrich Riehl)(読み)りーる(英語表記)Wilhelm Heinrich Riehl

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

リール(Wilhelm Heinrich Riehl)
りーる
Wilhelm Heinrich Riehl
(1823―1897)

ドイツの社会学者、文化史家、作家。最初はジャーナリストとして出発し、1854年ミュンヘン大学の国家科学教授、1859年同大学の文化史教授となる。彼の活動のみならず観察方法からみて、マルクスとはまったく対立する立場にたつ。社会学を経済学ではなく民族学に結び付けながらアカデミズムを貫徹した。彼によると、民族貴族農民市民と第四身分の4要素から構成され、民族の発展はこれら4要素の有機的な結び付きによって行われる。しかしこの場合、前二者は「不動の力」、後者は「運動の力」であるが、プロレタリアートをこれらの身分に変えることをもって社会政策の目的とした。主要著作は『市民社会論』(1851)、『土地と人』(1853)、『家族』(1861)、『民族の自然史』(1869)の四部作。彼はドイツ社会学の源流をたどる場合、L・フォンシュタインと並んでかならず扱わねばならない社会学者である。

[鈴木幸寿]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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