ルコウソウ(読み)るこうそう

改訂新版 世界大百科事典 「ルコウソウ」の意味・わかりやすい解説

ルコウソウ (縷紅草)
cypress vine
Quamoclit pennata (Lam.) Boj.

ヒルガオ科のつる性一年草ホソバルコウソウともいう。葉は羽毛状に細裂し,夏に鮮紅色,桃色,白色などの星形の花を葉腋ようえき)から出る花梗に2花ずつつける。種子は黒褐色で細長い。

 ルコウソウ属Quamoclit(英名star-glory)の植物は熱帯地方に約10種が分布するつる性の一年草である。観賞用に栽培されるのはホソバルコウソウのほかに,ハゴロモルコウソウマルバルコウソウがある。ハゴロモルコウソウQ.sloteri Nieuwl.はモミジルコウソウとも,また俗にチョウセンアサガオとも呼ばれ,1917年ごろアメリカでルコウソウとウチワルコウQ.coccinea(L.)Moench(英名star ipomoea)との交配によって作出されたものである。葉は両者の中間型で掌状に粗く裂け,花は1花梗に数個つき,円形に近い五角形で鮮紅色である。種子は卵円形。マルバルコウソウQ.angulata Bojerは,葉が心円形で1花梗に朱橙色の花を2花つける。いずれの種も5月上旬に種をまいて垣根フェンスなどにからませると,夏のあいだ,午前中に咲いて美しい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルコウソウ」の意味・わかりやすい解説

ルコウソウ
るこうそう / 縷紅草
留紅草
[学] Ipomoea quamoclit L.
Quamoclit pennata Boj.

ヒルガオ科(APG分類:ヒルガオ科)の一年生つる草。葉は長柄があって互生し、葉身は浅裂または深裂する。初夏から秋、長花柄の先に緋赤(ひせき)、深紅、純白色の小花を開く。花冠は径約2センチメートル、星状に5裂して漏斗(ろうと)状になり、筒部は細長い。名は、花色が赤いという意味である。

 熱帯アメリカ原産。垣根、アーチ、ネット、ポールなどに絡ませたり、鉢植えにして行灯(あんどん)仕立てにする。また地面にはわせ、グランドカバーとして観賞する。本種の仲間には、丸い心形の葉をつけるウチワルコウソウ(マルバルコウソウ)、ルコウソウとウチワルコウソウとの交雑種であるハゴロモルコウソウ(モミジバルコウソウ)がある。発芽には高温が適し、5月中旬~6月上旬が播種(はしゅ)期である。アーチ、ポール、垣根仕立ては20~25センチメートル間隔、グランドカバーは30~35センチメートル間隔に4、5粒ずつ点播(ま)きする。

[横山二郎 2021年6月21日]


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百科事典マイペディア 「ルコウソウ」の意味・わかりやすい解説

ルコウソウ

熱帯アメリカ原産のヒルガオ科のつる性一年草。茎は1〜2m,葉は羽状に全裂し,裂片は線形となる。夏〜秋,葉腋から長い花柄を出し,頂に1個の深紅色の花を開く。花冠は漏斗(ろうと)形で先は星状に5浅裂する。白花の園芸品種もある。近縁種に葉がハート形で,花冠がだいだい紅色,先がわずかに5裂するマルバルコウ,葉が羽状に深裂し,花冠は鮮紅色で先が裂けないハゴロモルコウ(ルコウソウとマルバルコウとの交雑種)がある。5月上旬に種をまき,鉢植などとして観賞。

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