ルピナス(英語表記)lupine
Lupinus

精選版 日本国語大辞典 「ルピナス」の意味・読み・例文・類語

ルピナス

〘名〙 (lupinus)
マメ科ハウチワマメ属植物の総称。ハウチワマメ、キバナノハウチワマメなど観賞用に栽培されるものが多い。ルーピン
② マメ科の多年草。北アメリカ原産で、観賞用に栽培される。高さ約六〇センチメートル。全体に赤褐色の細毛を密布。葉は掌状複葉長柄をもち七~九個の小葉からなる。各小葉は倒卵状長楕円形。初夏梢頭に白または紫色唇形花が数層に群がって咲く。のぼりふじ。はうちわまめ。

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デジタル大辞泉 「ルピナス」の意味・読み・例文・類語

ルピナス(〈ラテン〉Lupinus)

マメ科ルピナス属の植物の総称。一年草または多年草。葉は手のひら状の複葉で、長い柄がある。春から夏、花穂を直立し蝶形の花を密につける。花色は黄・赤・桃・紫・青など。南北アメリカヨーロッパに約300種が分布。花壇などに植える。 夏》

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改訂新版 世界大百科事典 「ルピナス」の意味・わかりやすい解説

ルピナス
lupine
Lupinus

マメ科のハウチワマメ属(ルピナス属ともいう)Lupinusの植物の総称で,ルーピンともいう。温帯を中心に世界各地に200~300種あるといわれ,多くは一・二年草であるが,中には多年草や低木となる種もある。一部は飼料や緑肥,観賞用,食用などにするために栽培される。葉は細長い小葉が5~15枚掌状に集まる複葉で,茎の先に多数の花を春に房状につける。一般に有毒のアルカロイドを含むが,含有量は種や品種によって変異が大きい。飼料・緑肥用とするものに,地中海沿岸地域原産のキバナルーピンL.luteus L.(英名yellow lupine,キバナハウチワマメともいう)やアオバナルーピンL.angustifolius L.(英名blue lupine,narrowleaved lupine。ホソバルーピンともいう),北アフリカ,シチリアからイスラエル地域に野生するシロバナルーピンL.albus L.(英名white lupine)などがあり,豆を除毒して食用とするものにパレスティナからエジプト原産のエジプトルーピンL.termis Forsk.(英名Egyptian lupine)やシロバナルーピンがある。また,花を観賞するために栽培されるものにキバナルーピンや南ヨーロッパ原産のカサバルーピンL.hirsutus L.(英名blue lupine),北アメリカ西岸(ワシントン州からカリフォルニア州)原産で多年生のシュッコンルーピンL.polyphyllus Lindl.(英名Washington lupine)などがある。
執筆者:

改良種ラッセル・ルピナスRussell Lupinusはイギリス人ジョージ・ラッセルが1937年に作出したもので,シュッコンルーピン(シュッコンルピナスともいう)を片親とする雑種といわれるが,花穂が長く花色が豊富である。オランダで改良されたミナレットMinaretteは花色が豊富で,高さ30~40cmの矮性(わいせい)種で,鉢植え,花壇向き。宿根草ではあるが秋まき一年草として取り扱い,最近では市販品が多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルピナス」の意味・わかりやすい解説

ルピナス
るぴなす
[学] Lupinus

マメ科(APG分類:マメ科)ルピナス属の総称。一、二年草および多年草。和名は、花のつき方からノボリフジ(登藤)、また葉の形からハウチワマメ(葉団扇豆)という。各種とも長柄のある掌状複葉を根生し、花茎を抽薹(ちゅうだい)して総状花序をつくる。旗弁は立って両縁(へり)は反転し、翼弁は内に巻いて竜骨弁を包囲する。花色は黄、紫、青、白、桃紅、複色などである。北アメリカ、中南米、アフリカ、地中海沿岸に広く分布し、約300種知られる。飼料、花壇、切り花に利用する。よく栽培されるものに次の各種がある。

 キバナルピナス(キバナハウチワマメ)L. luteus L.は南ヨーロッパ原産で、高さ40~50センチメートル、秋播(ま)きで、3~5月に黄色花を開く。切り花用としての栽培が多い。カサザキルピナスL. micranthus Guss.(L. hirsutus L.)も南ヨーロッパ原産で、高さ50~60センチメートル。秋播きで、4月ころ、青紫色または白色花を開く。ハートウェギー(ニシキハウチワマメ)L. hartwegii Lindl.はメキシコ原産で、高さ60~90センチメートル。秋播きで、5~6月に開花する。花色は青紫、白、桃、紅色などで、本属中もっとも美しい。近年よく栽培されるようになったラッセルルピナス(タヨウハウチワマメ)L. polyphyllus Russell hort.はポリフィルスをイギリスのラッセルが改良した品種群で、高性の多年草。黄、赤、青色花がある。

 栽培は、一、二年生種は秋播き、多年生種は春播きである。種子は大形で、直根性で移植を嫌うので、直(じか)播きして間引きするか、苗床に播き、本葉2枚くらいの小苗のうちに定植する。株間は一、二年草で10~15センチメートル、多年草で20~30センチメートル。あまり土質を選ばずによく生育するが、夏季に冷涼な地帯がよい。

[吉次千敏 2019年11月20日]


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百科事典マイペディア 「ルピナス」の意味・わかりやすい解説

ルピナス

マメ科ハウチワマメ属の総称。世界に約300種あり,観賞用,飼料,緑肥,食用などとされる。一〜多年草でときに低木。葉は掌状複葉となり,花は蝶(ちょう)形花で茎の上部に総状につく。切花用,花壇植として最も多く栽培されているキバナルピナス(ノボリフジとも)は,南欧原産の一年草。高さ約60cm,5月に芳香のある黄色の花を数段に輪生状につける。カサバルピナス(ケノボリフジとも)も南欧原産の一年草。高さ60〜80cm,茎や葉が白色の軟毛におおわれていて,4〜5月,通常紫青色の花を数段に輪生状につける。やはり切花として利用される。繁殖は実生(みしょう)による。ラッセルルピナスは北米西部原産のルピナス・ポリフィルスから作られた園芸品種群。多年生で高さ1m内外,矮性(わいせい)品種もある。花は5〜6月,総状に密につき,紅・青・黄・紫色花のほか,2色花もある。繁殖は株分け,実生による。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルピナス」の意味・わかりやすい解説

ルピナス
Lupinus perennis; wild lupine

マメ科の多年草。本来は南北アメリカ大陸に原産するハウチワマメ属 Lupinusの属名であるが,日本の園芸界ではこのうち観賞用に栽培する2~3種類を特にこの名で呼ぶことが多い。代表的なものは北アメリカ原産のハウチワマメ L. perennisでノボリフジともいう。茎は直立,分枝し,高さ 30~60cmあり,葉は8枚前後の小葉から成る掌状複葉で,小葉は長さ約 2.5cm,5~7cmの長い葉柄があり互生する。初夏の頃,茎頂に長さ約 25cmのまばらな総状花序を伸ばし,長さ 1cmあまりの蝶形花をつける。花色は普通青色であるがときに白色や淡紅色のこともある。莢は長さ 3cm内外で毛が密生する。

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世界大百科事典(旧版)内のルピナスの言及

【豆】より

…栽培の歴史の古いエンドウは種子を食用とする以外に,キヌサヤ系の野菜利用品種群が分化している。また観賞用の地中海域原産のルピナス(ルーピン)類にも豆が食用とされるものがある。
[豆類の調理]
 豆類の種子が生食されることは,ほとんどない。…

※「ルピナス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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