ルフェーブル・デタープル(読み)るふぇーぶるでたーぷる(英語表記)Jacques Lefèvre d'Étaples フランス語

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ルフェーブル・デタープル
Lefèvre d'Étaples, Jacques

[生]1455頃.エタープル
[没]1536.3. ネラック
フランスの神学者,ユマニスト。パリとイタリアで古典語,古典文芸,新プラトン派の神秘思想などを学ぶ。アリストテレスの研究と並行して,古代文芸とキリスト教信仰の調和を目指し,エラスムスと同様聖書の原典研究にもたずさわった。旧約聖書『詩篇』,パウロ書簡,福音書,公同書簡などの校注,解義を著わし,聖書のフランス語訳を完成 (1530) する一方,教会制度の平和的改革の実践活動に乗出した。 1521年からパリの東モーの町で「モーの聖書学者」 Groupe de Meauxの中心として活躍したが,ソルボンヌなどの迫害で運動は挫折晩年マルグリット・ダングレーム庇護を受けた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ルフェーブル・デタープル
るふぇーぶるでたーぷる
Jacques Lefèvre d'Étaples フランス語
Faber Stapulensis ラテン語
(1455―1536)

フランスのエタープル生まれの人文主義者。パリ大学に学び、優れたギリシア語の知識から、アリストテレスが誤解されていることに気づき、イタリアでアリストテレス学者と交際を結んだのち、主として対話形式の注釈をつけて、アリストテレスの著作刊行に努めた。古代哲学復興の努力は、同時代人から高く評価され、フランスやドイツにおけるアリストテレス研究を大いに促した。他方、聖書、とくにパウロの書簡、教父、中世の神秘家などの著作を研究した。その際、カトリックプロテスタント対立中立を保とうとはしたものの、自由と恩寵(おんちょう)の問題についてペラギウス派に近いと目され、二度裁判にかけられ、異端宣告も受けた。

[大谷啓治 2015年6月17日]

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百科事典マイペディア の解説

ルフェーブル・デタープル

フランスの人文学者,宗教改革先駆者。聖書の原典批判を行って最初の新約聖書仏訳を刊行。信仰義認と聖書主義の立場をとり,モー司教区の改革に携った。晩年は南仏に隠棲,マルグリット・ド・ナバールの庇護を受けた。

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