ルートウィヒ(Otto Ludwig)(読み)るーとうぃひ(英語表記)Otto Ludwig

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ルートウィヒ(Otto Ludwig)
るーとうぃひ
Otto Ludwig
(1813―1865)

ドイツの小説家、劇作家。自ら命名した19世紀の文学思潮「詩的リアリズム」を代表する作家の1人。チューリンゲン地方のアイスフェルトに生まれ、ドレスデン死去。人生の真実の追究を文学のモットーとし、故郷の村の生活をユーモラスに点描した『陽気な娘』(1855)は郷土小説の先駆となり、教会の屋根の修復をめぐって同じ女性を愛した兄弟間のすさまじい葛藤(かっとう)を描く長編『天と地の間』(1856)は、心理小説の分野を開拓した。劇作家としては、数多くの断片草稿を残したが、完成した作品は運命悲劇『世襲山林監督官』(1850)と『旧約聖書』に取材した韻文の悲劇『マカベア一族』(1854)だけである。晩年は半身不随の身となりながら、シラーの理想主義的悲劇を否定しリアリズム劇を主張するユニークな演劇論『シェークスピア試論』(1871、没後刊)を書き続けた。

丸山 匠]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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