家庭医学館 の解説
れいのーびょうれいのーしょうこうぐん【レイノー病/レイノー症候群 Raynaud's Disease / Raynaud's Syndrome】
寒冷刺激を受けたとき、あるいは精神的緊張で、手足の指の血管が急にけいれんして、血液が流れにくくなり、指の色が蒼白(そうはく)、ついで紫青色に変わります(チアノーゼ)。刺激がなくなってしばらくするともとにもどりますが、このような現象をレイノー現象(げんしょう)といいます。
レイノー現象は、手指におこることが多く、蒼白になると冷感やしびれも現われ、感覚がなくなったり、痛むこともあります。はじめは冬季だけですが、進行すると季節に関係なくおこるようになります。循環障害が長く続くと、皮膚が栄養障害をおこし、潰瘍(かいよう)や壊死(えし)を生ずることもあります。
レイノー現象は、レイノー病とレイノー症候群ともにおこります。特定の病気がなく、原因不明でレイノー現象がおこるのがレイノー病、原因となるほかの病気の症状の1つとしてレイノー現象がおこるものがレイノー症候群です。
■レイノー病
原因となる病気はなく、レイノー現象だけが現われるものです。比較的、若くて虚弱体質の女性に多くみられます。
症状は、冬季のみに現われ、軽度のことが多いものです。何年たってもある程度以上は進みませんが、年齢とともに改善して消失することも少なくありません。
■レイノー症候群
いくつかの病気の症状の1つとして現われるため、原因となる病気の診断の重要な手がかりになります。膠原病(こうげんびょう)が原因疾患であることが多くみられます。
症状は、レイノー病よりも激しく、指の浮腫(ふしゅ)(むくみ)、皮膚の硬化、指先の潰瘍をともなうこともあります。
[治療]
レイノー病には、根本的な治療法はありません。血管を拡張する薬や血小板(けっしょうばん)の凝集(ぎょうしゅう)を抑える薬(プロスタグランジン製剤など)がわずかに有効です。寒冷にさらされないように手指を保護し、保温に努めることがたいせつです。
レイノー症候群の治療は、手指の保護や保温など、基本的な点はレイノー病と同じですが、原則的には、原因となる病気をつきとめ、それに対する治療を行ないます。そのためには、内科、膠原病の専門医のいる病院を受診して、相談するのがよいでしょう。
薬物治療としては、血管拡張薬やプロスタグランジン製剤など、血小板機能を抑制する薬が用いられます。外科治療としては、胸部や腰部の交感神経を切除する手術があります。