レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群、下肢静止不能症候群、不穏脚症候群)

内科学 第10版 の解説

レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群、下肢静止不能症候群、不穏脚症候群)(睡眠異常)

(5)レストレスレッグズ症候群(restless legs synd­rome)(むずむず脚症候群,下肢静止不能症候群,不穏脚症候群)
定義・概念
 下肢に生じる不快な異常感覚に伴って,下肢を動かしたくなる衝動を特徴とする.
分類
 原因不明の特発性レストレスレッグズ症候群と,二次性レストレスレッグズ症候群に分類される.
原因・病因
 特発性レストレスレッグズ症候群では,しばしば遺伝歴がある.二次性レストレスレッグズ症候群の原因としては,薬剤誘発性,鉄欠乏状態,末期腎不全(透析患者),Parkinson病,妊娠,リウマチ性疾患,糖尿病,ポリニューロパチーがある.
疫学
 一般住民での罹患率は欧州での疫学調査では6~12%,日本を含むアジア地域での罹患率は,0.1~4%である.
病態生理
 概日リズムと関連があり,症状は夕方から夜にかけて出現することが多い.ドパミン作動性神経の機能障害,中枢内鉄代謝異常,遺伝的背景が関連している.
臨床症状
 安静時に強い不快な異常感覚に伴って,下肢を動かしたくなる衝動がある.皮下に虫が這うような感じがあり,重症例では坐位で同一姿勢を長く維持するのが困難になり,睡眠薬抵抗性不眠症の原因になる.就眠時には脚を常に動かしたくなり,もむ,たたく,歩き回るなどの行為がみられる.いったん歩くと少しの時間は不快感覚から解放されるが,静止するとまたすぐに再燃するといったことを繰り返す.
治療
 ドパミン作動薬(レボドパ,ドパミンアゴニスト)が有効である.[黒岩義之]
■文献
大川匡子,内山 真:睡眠障害.ダイナミック神経診断学(柴崎浩編),pp303-312,西村書店,新潟,2001.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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