レモンソール(読み)れもんそーる(英語表記)lemon sole

翻訳|lemon sole

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レモンソール」の意味・わかりやすい解説

レモンソール
れもんそーる
lemon sole
[学] Microstomus kitt

硬骨魚綱カレイ目カレイ科に属する海水魚。ヨーロッパでもっとも普通のカレイで水産重要種である。英名のレモンソールは、体形と色彩がレモンに似ていることに由来する。フランスではSole limande、ドイツではRotzunge、オランダではSteenschol、ノルウエーではLomreという。白海からビスケー湾までの北西ヨーロッパの沿岸およびアイスランドに広く分布し、水深40~200メートルの砂泥底にすむ。日本近海のババガレイと同じ属であるが体が高い卵円形で、頭は体長の約5分の1と小さい。口が小さく、唇は厚い。上顎(じょうがく)の後端は下眼の前縁下またはそれより前に達する。鱗(うろこ)は細かい円鱗(えんりん)で、粘液で覆われる。有眼側の体は多くは暗褐色だが、すみ場所によって黄色、オレンジ色、緑色などに変化する。黒褐色の小斑点(はんてん)が体や各ひれに散らばる。全長66センチメートルになる。

 小さなエビ・カニ類、小魚、軟体動物などを食べるが、多毛類がおもな餌(えさ)である。産卵期は海域によって異なり、イギリス西岸では4~7月、スコットランド東部海域では5~9月である。卵は8日で孵化(ふか)し、幼生表層を遊泳する。全長15~20ミリメートルで変態し、底生生活を始める。成長は緩やかで、平均して年間に4センチメートル余りずつ大きくなり、9歳で25~36センチメートルになる。15年ぐらいまで生きる。雄では3~4歳で、雌では4~6歳で成熟する。おもにトロールで漁獲され、ムニエル薫製などにする。イギリス、フランスではきわめて有用種である。

落合 明・尼岡邦夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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