レンリソウ(読み)れんりそう

改訂新版 世界大百科事典 「レンリソウ」の意味・わかりやすい解説

レンリソウ (連理草)
vetchling
Lathyrus quinquenervius (Miq.) Litv.

スイートピーと同属のマメ科多年草和名は小葉の対生する様子に基づく。湿った草地に生え,直立し,高さ約80cmに達する。茎は三稜形で狭い翼がある。葉は2~6枚の偶数個の小葉をもつ。小葉は対生し,狭長楕円形で長さ5~10cm,葉脈は平行して5~6本。花期は5~7月。総状花序に4~8花がつく。花は紫色で,長さ1.5~2cm。豆果は広線形で長さ3~4.5cm。本州,九州,東アジア温帯に分布する。

 ハマエンドウL.japonicus Willd.は海岸の砂地でふつうにみられる多年草で,茎は長く地をはう。葉は8~12枚の小葉があり,葉軸の先端は巻きひげとなる。花は紅紫色で,長さ2.5~3cm。近縁イタチササゲL.davidii Hanceは山地草原,林縁などでみられ,直立して,高さ2mに達する。葉は4~8枚の小葉をもつ。花は長さ15~18mm,黄色から黄褐色に変わり,総状花序に10~30個が穂状に集まって,7~8月に咲く。和名は花色をイタチの毛色に見立てたもの。北海道,本州,九州に生育し,朝鮮,中国に分布する。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レンリソウ」の意味・わかりやすい解説

レンリソウ
れんりそう / 連理草
[学] Lathyrus quinquenervius (Miq.) Litv.

マメ科(APG分類:マメ科)の多年草。茎は直立して高さ80センチメートルに達し、3稜(りょう)形で、2枚の狭い翼がある。葉は1~3対の小葉からなり、葉軸の先端は巻きひげとなるが、分枝はしない。小葉は狭長楕円(ちょうだえん)形で平行脈がある。初夏葉腋(ようえき)の総状花序に、紫色で長さ約2センチメートルの蝶形花(ちょうけいか)を4~8個ずつつける。本州、九州の湿った草地に生え、朝鮮半島、中国、東シベリアに分布する。名は、小葉が対(つい)をなして連立することによる。これによく似たエゾノレンリソウL. palustris L. subsp. pilosus (Cham.) Hult.は、巻きひげが分枝し、小葉の平行脈はあまり顕著でない。北海道、本州、対馬(つしま)の湿地に生え、北半球に広く分布する。

[立石庸一 2019年11月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「レンリソウ」の意味・わかりやすい解説

レンリソウ

本州,九州,東アジアの川岸の草原などにはえるマメ科の多年草。茎は高さ約50cm,3枚の翼がある。葉は2対内外の広線形の小葉からなり,中軸の先は巻きひげに終わる。晩春上方の葉腋から花柄を出し,総状に数個の花を開く。花は蝶(ちょう)形花で,長さ15〜20mm,紫色となる。若葉は食用。同属の園芸種にスイートピーがある。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android