レバン

改訂新版 世界大百科事典 「レバン」の意味・わかりやすい解説

レ・バン
Les Vingt

1884年にブリュッセルで設立されたベルギーの前衛芸術団体。〈20(人)〉の意で,〈二十人組〉と訳されることもある。芸術愛好家の弁護士マウスOctave Maus(1856-1919)が幹事となり,フォーヘルスJ.Vogels,アンソールクノップフ,ファン・レイセルベルヘT.van Rysselbergheら20人で発足した。のち外国からトーロップオランダ),ロダン(フランス)などが参加する一方,退会者もあり,メンバーは通算32名であった。特定の綱領はないが,毎年,会員と招待者(モネ,ルノアール,ルドン,スーラ,ゴーギャン,ゴッホホイッスラークリンガーセガンティーニなど)による展覧会,講演会,音楽会を開催。個性的・革新的芸術家に発表の機会を与え,ベルギーの公衆を内外の新傾向に近づけたその意義は大きい。初期には印象主義が優勢で,やがて新印象主義が導入され,象徴主義的傾向も台頭する。1893年に解体するが,革新的芸術の推進は,マウスが翌94年に設立した芸術愛好家と文学者の団体〈自由美学La libre esthétique〉主催の展覧会に継承され,内容多様性規模の国際性をさらに強めたこの〈自由美学〉展は第1次大戦勃発まで続いた。
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化学辞典 第2版 「レバン」の解説

レバン
レバン
levan

D-フルクトフラノースからなる多糖.多くの植物抽出液や枯草菌,Bacillus属,Xanthomonas属,Pseudomonas属など多数の菌のショ糖培養液に含まれる多糖.植物から抽出されたものは20~30個の(2β→6)-フルクトフラノースの直鎖状多糖であり,微生物からのものは,(2β→6)結合の直鎖にフルクトース残基約12個につき1個の(2→1)結合の分枝鎖をもち,分子量は約7×106 である.Bacillus subtilisあるいはAcetobacter levanicum中では,レバンスクラーゼの作用によってショ糖から生合成される.ハプテンとして用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「レバン」の解説

レバン

 フルクタンの一つ.β2→6結合で結合したフルクトースのポリマー.菌類が生産する.枝分かれ構造をもつ.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のレバンの言及

【アンソール】より

…81年のブリュッセルでの〈蛹(さなぎ)La Chrysalide〉グループ展で初めて作品を公開した際は,光の効果に敏感な色彩家としてかなり好意的な評価も得たが,サロン(官展)にはこの時期の作品さえも,形や構図の不明晰,主題の卑近さ等を理由にほとんど受けいれられなかった。83年にブリュッセルで前衛的芸術団体レ・バン(二十人組)が結成され,クノップフらとともに創立会員となる。しかし,80年代半ばの作風の転換,すなわち明るく強烈な色彩の使用,いっそう激しさを増したタッチ,彼が好んで描いた骸骨(がいこつ)や仮面の跳梁するグロテスクで風刺的な主題は,反伝統主義的立場で結ばれたこのグループにおいてすら彼を孤立させることになり,《キリスト,ブリュッセルに入る》は89年のグループ展への出品を拒絶された。…

【クノップフ】より

…ブリュッセル大学法学部に入学したが,画家を志して,アカデミーおよびメルリXavier Melleryのもとで学び,モローやラファエル前派の影響を受けて象徴主義に向かう。1884年美術団体〈レ・バン(二十人組)〉の創設に参加。さらにフランスの神秘主義者ペラダン主宰の〈薔薇十字〉展にもかかわりをもち,ブリュッセルにおいてベルギーを代表する象徴主義の画家として,女の魔性や芸術家の孤高性などを暗示的に表現した文学的作品を制作,一方で上流社会の女性たちの肖像画を描く。…

【ベルギー】より

…19世紀後半,自国よりむしろパリで活動した画家としては,瀟洒(しようしや)な女性風俗を描いたステバンス,悪魔的あるいは好色的な主題を得意としたロップスや,モローに師事しかつ印象派の影響を受けたエバンプールHenri Evenepoel(1872‐99)がいる。一方,〈レ・バン(二十人組)〉が1884年以降ブリュッセルで国際的規模の展覧会を開いたことにより,印象主義,新印象主義等,パリの最新の動向が伝えられた。ベルギーは世紀末の象徴主義の一中心でもあり,〈レ・バン〉の創設者の一人クノップフがこれを代表する。…

※「レバン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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