日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ロア(Gabrielle Roy)
ろあ
Gabrielle Roy
(1909―1983)
カナダの女流小説家。フランス系。中部カナダ、マニトバ州のウィニペグにあるフランス系カナダ人のコミュニティに生まれる。ウィニペグ、ついでモントリオールで学校の教師をしたのち、ジャーナリズムに入り、パリ滞在。第二次世界大戦後発表された『行きずりの倖(しあわ)せ』Bonheur d'occasion(1945)でフランスの女流文学賞フェミナ賞を獲得した。以後モントリオールを中心に、貧しい都市生活者、適応に苦しむ海外からの移民の生活などを鋭い心理観察と、温かい筆致で描いた作品を次々と発表して、戦後のカナダ文学を代表する作家となった。ほかに『小さな野鴨(のがも)』La Petite Poule d'eau(1950)、マニトバを舞台にした『神秘の山』(1960)、そして『憶(おも)い出の子供たち』Ces Enfants de ma vie(1977)などがある。
[西本晃二]