ロス(Edward Alsworth Ross)(読み)ろす(英語表記)Edward Alsworth Ross

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ロス(Edward Alsworth Ross)
ろす
Edward Alsworth Ross
(1866―1951)

アメリカの社会学者。アメリカ社会学創成期の有力な一人。ジョンズ・ホプキンズ大学卒業後、スタンフォードネブラスカ、ウィスコンシン各大学教授を歴任。『社会学の基礎』(1897~1904)において、保守的ダーウィニズムを攻撃し、アメリカ社会の改良に役だとうとして社会理論の形成に努めた。従来の生物学的文脈のなかにあった有機体説を社会的・心理的文脈のもとに定義し直し、社会過程の分析に力を入れ、過去の文明と現代社会を説明するのに用いた。『社会統制論』(1901)では、外的統制ではなく、啓蒙(けいもう)と説得による統制を重要視し、世論や教育、あるいはまた芸術家による理想像の創造の役割を説いた。『社会心理学』(1908)は、この分野の古典の一つとされている。政治の民主主義化を説く革新主義運動の旗手の一人ではあったが、また、移民に反対し、自国民保護主義を訴え、アングロ・サクソンの優越性を主張する論客でもあった。

[佐藤 毅]

『高部勝太郎訳『社会心理学』(1917・磯部甲陽堂)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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