ロス(Sir James Clark Ross)(読み)ろす(英語表記)Sir James Clark Ross

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ロス(Sir James Clark Ross)
ろす
Sir James Clark Ross
(1800―1862)

イギリスの海軍軍人、極地探検家。ロンドンに生まれ、12歳で候補生となり海軍に入る。叔父の海軍提督で北極探検家、ジョン・ロスSir John Ross(1777―1856)の下にあって航海や戦争に従事した。1818年叔父J・ロスと、同じく海軍提督、北極探検家のパリーSir William Edward Parry(1790―1855)の指揮する「北西航路探究の北極航海に参加。このころより磁気測量、博物学調査に興味を覚える。1829~1833年、J・ロスとともにふたたび北西航路探究航海に出て、1831年ブーシアBoothia半島西に北磁極発見した。1839~1843年の南極探検では、イギリス海軍よりエレバス号、テラー号による南極域の磁気測量を主目的とした探検隊長を命ぜられた。1841年、東経174度付近で北に開ける大きなロス海ロス棚氷(たなごおり)を発見、また沿岸を測量して、ビクトリア・ランドと南極半島北端のイギリス領宣言を行った。また活火山を発見し、探検船の名をとってエレバス、テラーと命名した。これらの功により1844年サーの称号を授けられた。また、1848~1849年には北西航路探究で行方不明になったフランクリンSir John Franklin(1786―1847)捜索のための北極探検も行った。のちにスコット隊が発見したロス島も彼の名にちなむ。主著に『南方および南極地方の発見と探究の航海』A Voyage of Discovery and Research to Southern and Antarctic Regions(1847)がある。

[半澤正男]

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