ロバーツ(英語表記)Roberts, Julia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロバーツ」の意味・わかりやすい解説

ロバーツ
Roberts, Julia

[生]1967.10.28. ジョージア,スミルナ
アメリカ合衆国の女優。フルネーム Julia Fiona Roberts。演技学校を経営する両親のもとに生まれる。兄で俳優のエリック・ロバーツの推薦を受け,『ブラッド・レッド/復讐の銃弾』Blood Red(1989)の端役で映画デビューした。『ミスティック・ピザ』Mystic Pizza(1988)で初主演。『マグノリアの花たち』Steel Magnolias(1989)で高評価を受け,1990年に主演した『プリティ・ウーマン』Pretty Womanで一躍トップスターとなる。1990年代を通じて,『愛がこわれるとき』Sleeping with the Enemy(1991),『ペリカン文書』The Pelican Brief(1993),『ベスト・フレンズ・ウェディング』My Best Friend's Wedding(1997),『ノッティングヒルの恋人』Notting Hill(1999)などに主演し,着実にキャリアを積んだ。2000年に制作会社シューレース・プロダクションを設立,同年主演したスティーブン・ソダーバーグ監督の『エリン・ブロコビッチ』Erin Brockovich(2000)でアカデミー賞主演女優賞を受賞した。国連児童基金 UNICEFやアメリカ赤十字など多くの慈善団体への支援活動も行なっている。

ロバーツ
Roberts, Richard J.

[生]1943.9.6. イギリス,ダービー
イギリスの分子生物学者。 1968年シェフィールド大学で有機化学の博士号を取得。ハーバード大学で研究生活をおくったあと,72年ニューヨークのコールドスプリングハーバー研究所の上級研究員となり,86年研究副部長。 92年マサチューセッツ州ニューイングランド生物学研究所の真核生物研究部長に就任。 1977年アデノウイルス遺伝子が分断されていることを実証,蛋白質になるよう符号化されたデオキシリボ核酸 DNA領域 (エクソン) が,符号化されていない長い DNA領域 (イントロン介在配列) に分断されていることを発見した。同じ時期,P.A.シャープも別の研究チームを率いて同じ発見をしている。従来のバクテリア DNAに基づいた研究では,遺伝子は蛋白質合成の指令を受けた DNAの長い連鎖分子状のものと信じられていたが,彼らの発見以降,人間をはじめとする高等生物では分断された遺伝子 (スプリット・ジーン) のほうが一般的であるとの認識が確立された。さらに遺伝子断片の統合過程 (スプライシング) によって進化が早まることも判明,癌や遺伝病などの解明に寄与した。 93年シャープとともにノーベル生理学・医学賞を受賞。

ロバーツ
Roberts, Sir Charles George Douglas

[生]1860.1.10. ニューブランズウィックダグラス
[没]1943.11.26. トロント
イギリス系カナダの詩人。 B.カーマンの従兄。『オライアンその他』 Orion and Other Poems (1880) で詩壇に登場し,『日々の歌』 Songs of the Common Days (93) などによって,1880~90年代のカナダ詩興隆の一翼をにない,数多くの動物物語も書いた。 97~1925年国外で暮したが,帰国後はカナダの国民詩人として迎えられ,敬愛を集めた。

ロバーツ
Roberts, Michael

[生]1902. ハンプシャーボーンマス
[没]1948.12.13.
イギリスの批評家,詩人。アンソロジー『新署名』 New Signatures (1932) ,『新国土』 New Country (33) ,"The Faber Book of Modern Verse" (36) の編集によって 1930年代の詩壇の先導者となった。自作の詩集3巻のほか,『T. E.ヒューム論』 T. E. Hulme (38) ,『人間論』 The Estate of Man (51) などがある。

ロバーツ
Roberts, Tom

[生]1856.3.9. ドーチェスター
[没]1931.9.14. ビクトリア
イギリス生れのオーストラリアの画家。本名 Thomas William Roberts。 1869年オーストラリアに渡り,メルボルンで写真家の助手として働きながら絵を修得。 81年から数年間ヨーロッパに旅行,印象派 (→印象主義 ) の絵に強く影響された。帰国後は印象派風の風景画を描き,オーストラリアの風景画の父といわれる。

ロバーツ
Roberts, Kenneth (Lewis)

[生]1885.12.8. メーン,ケネバンク
[没]1957.7.21. メーン,ケネバンク
アメリカのジャーナリスト,作家。コーネル大学卒業後ジャーナリズムに関係,のち創作を始め,正確な史実に基づきながらしかもアクションの多い歴史小説を書いた。植民地時代に辺境で活躍したロバート・ロジャーズ少佐を描いた『北西航路』 Northwest Passage (1937) などのほか,エッセー集,自伝などがある。

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改訂新版 世界大百科事典 「ロバーツ」の意味・わかりやすい解説

ロバーツ
Richard Roberts
生没年:1789-1857

イギリスの機械技術者。鉄工場の製図工であったが,マンチェスターで機械製造の事業をおこし,数多くの発明を行う。1822年の力織機の改良で特許を取る。この発明で力織機は手織機に決定的に差をつけることになる。またとくに,25年に特許を取得した自動ミュール紡績機械で有名。ミュールはクロンプトンの発明時にはほとんど木製であったが,紡錘の数が増加し動力に水力や蒸気力が使用されるようになるにつれ,鉄製の部分が多くなった。19世紀に入るとミュールは,ローラーや紡錘の回転などは自動化されてきたが,ミュールのもつ段階的作動の自動化は困難であった。ロバーツは,歯車やベルトのかけ替えによる方向の転換のくふうを考案し,ミュールの全自動化を達成した。このことを可能としたのはロバーツの自家製の工作機械であり,多段変速ギヤをもった旋盤や平削盤は彼の発明である。これらの機械により,ロバーツは蒸気機関の製造にも大きく寄与した。
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ロバーツ
Tom Roberts
生没年:1856-1931

オーストラリアの画家。イギリス生れ。1869年両親とオーストラリアに移住した。この国の印象派の草分けL.ビュベロに師事し,81年渡英してローヤル・アカデミーに学び,オーストラリアの画家J.ラッセルと渡仏して印象派の影響を受けた。85年帰国し,メルボルン近くのハイデルバーグにF.マッカビン,A.ストリートン,C.コンダーらと美術村を作り,印象主義の手法を土着化,オーストラリア奥地(ブッシュbush)の風物を描いた。美術村は90年まで続き,このグループはハイデルバーグ派と呼ばれた。ロバーツはアトリエを出て戸外で風物を描く手法の紹介に努め,89年には〈9×5展〉と銘打って,葉巻タバコの箱のふた(9インチ×5インチ)に描いた印象主義絵画展を開いた。1901年オーストラリア連邦が発足したときには,依頼を受けて最初の議会のようすを描いた。代表作は奥地での生活を描いた《雄羊の毛刈り》《襲撃》など。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のロバーツの言及

【オーストラリア】より

…ラファエル前派,印象主義などの流入期の画家にはビュベロLouis Buvelot(1814‐88)がいる。オーストラリア自生のエートスを強調する文化ナショナリズムが台頭した1890年代の第1次文化興隆期には,ロバーツTom Roberts(1856‐1931)を筆頭に,マッカビンFrederick McCubbin(1855‐1917),ストリートンArthur Streeton(1867‐1943),デービズDavid Davies(1862‐1939),コンダーCharles Conder(1868‐1909)らの〈ハイデルバーグ派〉が印象主義手法をオーストラリア風に練り直し,以後画壇の主流となった。他方,西欧の水彩画法を学んだ先住民アボリジニーの画家ナマジラは,4万年に及ぶアボリジニーの土着の感覚をオーストラリア白人に紹介,アボリジニー画家の先駆となった。…

【オーストラリア】より

…ラファエル前派,印象主義などの流入期の画家にはビュベロLouis Buvelot(1814‐88)がいる。オーストラリア自生のエートスを強調する文化ナショナリズムが台頭した1890年代の第1次文化興隆期には,ロバーツTom Roberts(1856‐1931)を筆頭に,マッカビンFrederick McCubbin(1855‐1917),ストリートンArthur Streeton(1867‐1943),デービズDavid Davies(1862‐1939),コンダーCharles Conder(1868‐1909)らの〈ハイデルバーグ派〉が印象主義手法をオーストラリア風に練り直し,以後画壇の主流となった。他方,西欧の水彩画法を学んだ先住民アボリジニーの画家ナマジラは,4万年に及ぶアボリジニーの土着の感覚をオーストラリア白人に紹介,アボリジニー画家の先駆となった。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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