世界大百科事典 第2版の解説
ロビンソン・クルーソー【Robinson Crusoe】
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
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…だから小説はあくまで真実を語り道徳を高める役割を果たさねばならない,と主張したのである。イギリス小説の初期の傑作たるJ.バニヤンの《天路歴程》(1678,84)はキリスト教精神の弘布の役割を果たすから,デフォーの《ロビンソン・クルーソー》(1719)は事実の記録(今日でいうノンフィクション・ドキュメンタリー)だからという理由で,当時の市民階級の読者から歓迎されたのである。
[特質]
イギリスの小説,特に〈ノベル〉には,それを生み出した地域社会に共通する精神構造や風俗に依拠している部分が多い。…
…だから〈人間と海とが,いわば互いに浸透し合っている国――たいがいの人間の生活に海がはいり込んでいるし,人間の方でも,娯楽なり,旅行なり,または生計の道なりによって,海についてある程度,ないしは何から何まで知っている国〉と,コンラッドの小説《青春》(1902)の中でイギリスが描かれるのも当然であろう。 イギリスの近代小説の発生とほぼ同時に,デフォーの《ロビンソン・クルーソー》(1719)という,今日なお海洋小説の世界的傑作と認められている作品が生まれた。この表題になっている主人公のように,どれほどの危険な苦難を経験しても,海に抵抗できぬ魅力を感じる(主として男の)人物が,未知への探究を求めて多くの小説に登場する。…
…トーリー主義者として知られたアン女王の死後,彼は表面的な政治的活動はひかえざるをえなくなった。しかし,1719年孤島漂流記《ロビンソン・クルーソー》の発表とともに,小説という新しい活動分野を見いだし,以後5年間にわたって《シングルトン船長》(1720),《モル・フランダーズ》《疫病年の記録(ペスト)》《ジャック大佐》(いずれも1722),《ロクサーナ》(1724)などをやつぎばやに出版した。これらの大半は波乱に富む主人公の一代記を〈事実〉の記録として描いたものであり,その写実的な手法のためにイギリス最初の近代小説とみなされている。…
…1498年5月30日,コロンブスが第3次航海の際トリニダード島を〈発見〉し,アリポ山などの3峰を見てトリニダード(スペイン語で〈三位一体〉の意)と名づけた。また,D.デフォーの《ロビンソン・クルーソー》で知られるトバゴ島の名は,先住民たちが愛好していたタバコがなまったものといわれている。行政区域は,8州とトバゴ特別区に分かれている。…
…現在でこそ〈旅行記〉は真実でなければならないと考えるのが常識だが,18世紀ごろまでは事実か創作かの区別はひどくあいまいで,読者も厳密な区別を作者に要求することはなかった。例えば有名な《ロビンソン・クルーソーの生涯と奇しくも驚くべき冒険(ロビンソン・クルーソー)》の初版(1719)の表紙には,〈彼自身によって書かれた〉と記されている。作者デフォーはこれを実録と呼び,読者もそれを信じていたし,これが詐欺であるとか背信行為であると責めることもしなかった。…
※「ロビンソン・クルーソー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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