ロラン(Claude Lorrain)(読み)ろらん(英語表記)Claude Lorrain

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ロラン(Claude Lorrain)
ろらん
Claude Lorrain
(1600―1682)

フランスの風景画家。本名ジュレClaude Gellée。ロレーヌ地方のシャマーニュに生まれる。12歳ないし20歳でローマに移り、画家アゴスティーノ・タッシAgostino Tassi(1578― 1644)のもとで修業する。その後2年間ロレーヌに戻ったほかは生涯のほとんどをローマに住んで同地に没し、17世紀フランスの代表的画家としてN.プサンとしばしば比肩される。ロラン北方からローマにきていたブリルPaul Bril(1554―1626)、エルスハイマーらの風景画に強い影響を受けて出発したが、ローマ郊外やナポリ湾などの風景を土台にした雄大かつ牧歌的な理想的風景画を多く描き、30歳代なかばには名声を確立した。早くから偽作に悩まされ、自ら自作をスケッチで記録した。これが今日『真実の書』(大英博物館)とよばれるものである。彼の生き生きとした自然の光、大気描写は、イギリスのJ.M.W.ターナー、コンスタブルら近代の画家にも大きな影響を与えた。代表作に『港、聖ウルスラの乗船』(1641、ロンドンナショナル・ギャラリー)があり、東京にある『踊るサテュロスニンフのいる風景』(1646、国立西洋美術館)も秀作である。

[宮崎克己]


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