ローズ(Cecil Rhodes)(読み)ろーず(英語表記)Cecil Rhodes

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ローズ(Cecil Rhodes)
ろーず
Cecil Rhodes
(1853―1902)

イギリスの南アフリカ植民地行政官、鉱山主。16歳のとき、結核療養のため、ナタール植民地で綿花栽培に従事していた長兄を頼ってアフリカに渡った。1871年に、ダイヤモンド鉱が発見されたキンバリーに移って鉱山業に転じ成功を収め、1891年には世界のダイヤモンド生産の90%を支配するに至った。1887年にはトランスバール共和国で発見された金鉱にも出資し、事業を拡大した。一方、1889年からは、南アフリカ特許会社(イギリス南アフリカ会社)を通してマジュナ人、マタベリ人の土地を攻略し、イギリス本国の4倍を超える広大な地域の統治権をイギリス政府から承認され、彼の名にちなんでローデシアと命名した。彼の最大の目的は、イギリスの支配する世界帝国建設にあり、1881年にケープ植民地議会議員として政界入りし、1890年同植民地首相に就任後は、いわゆる三C政策を提唱して北方への植民地拡大を企てた。しかし、1895年トランスバール共和国への侵攻作戦を強行して失敗(ジェームソン侵入事件)、辞任を余儀なくされた。以後再起はならず、1902年失意のうちにケープで死去した。なお、彼の学問への愛着は著しく、オックスフォード大学の学士号を8年がかりで取得遺産一部は同大学のローズ奨学金設立にあてられた。

[石井摩耶子]

『鈴木正四著『セシル・ローズ』(1980・誠文堂新光社)』

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