ローマクラブ

デジタル大辞泉 「ローマクラブ」の意味・読み・例文・類語

ローマ‐クラブ

The Club of Rome》1968年、ローマで初会合を開いて発足した国際的民間組織。各国知識人財界人によって構成され、天然資源の枯渇化・環境汚染人口増加などの諸問題を研究提言研究報告書成長限界」「国際秩序の再編成」などを発表している。

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改訂新版 世界大百科事典 「ローマクラブ」の意味・わかりやすい解説

ローマ・クラブ
Club of Rome

イタリアの著名な実業家であり知識人であるペッチェイAurelio Peccei(1908-84)を中心に〈地球の有限性〉という共通の問題意識をもつ世界各国の知識人が集まって結成した任意の団体。1968年にローマで初会合を開いたことから,この名で呼ばれる。クラブメンバーは最大100人と決められているが,97年6月現在で正会員は37ヵ国80人,名誉会員,準会員を含めると50ヵ国148人が参加している。メンバー構成は,科学者,経済学者,プランナー,教育者,経営者など多彩であり,日本からも正会員3名,名誉会員2名が参加している。ローマ・クラブは発足の当初から〈人類の危機プロジェクト〉と称して,世界に起こっている種々の問題を個別ではなく,相互に密接な関連をもつ〈問題群〉としてとらえ,その総合的な解決を世界の指導者や一般大衆警告,助言することを目的としている。このアピールにこたえて行われた研究の最初の成果が〈現在のような幾何級数的な世界人口と経済の成長がこのまま続けば,来世紀には破滅的な事態に至る可能性が強く,物質的な意味でのゼロ成長を実現する必要がある〉と警告する《成長の限界》(1972)である。引き続いて《転機に立つ人間社会》(1974),《限界なき学習》(1979)などの報告書が出されている。また,原則として毎年1回ずつ各国持回りで大会を開いており,大会最後に次回開催地を決定している。東京でも73年に統一テーマ〈新しい世界像を求めて〉,82年には統一テーマ〈21世紀への地球的課題と人類の選択〉で2度にわたり,また92年は福岡で統一テーマ〈地球環境と地域行動〉のもとに大会が開催されている。日本においては社団法人〈科学技術と経済の会〉が事務局となっている。
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世界大百科事典(旧版)内のローマクラブの言及

【生活の質】より

…このように〈より多く〉よりも〈より良く〉という価値観として,世界的には1965年ころからクオリティ・オブ・ライフ(QOLと略称)という言葉が使われはじめ,日本でも70年から経済企画庁が社会指標として〈生活の質〉の指標化にとりくんでいる。72年ローマ・クラブ報告書《成長の限界》の中で使われて以来,広く使われるようになった。生活の質を個人の意識の問題として満足感・充足感として定義する見解,個人生活をとりかこむ社会的環境の問題として暮しやすさとして定義する見解,その両者を統合する見解があり,社会指標として使われる場合は第3の見解がとられている。…

【世界秩序】より

…これには大きくいって2種類ある。一つは,未来の世界システムがどうなるか予測を行うものであり,たとえばローマ・クラブの最初の報告《成長の限界》(1972)は,このような色合いが強い。もう一つは,望ましい未来の世界秩序を選択しようとするものである。…

※「ローマクラブ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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