ローヤルアンテロープ(英語表記)royal antelope
Neotragus pygmaeus

改訂新版 世界大百科事典 「ローヤルアンテロープ」の意味・わかりやすい解説

ローヤルアンテロープ
royal antelope
Neotragus pygmaeus

偶蹄目ウシ科の哺乳類。アフリカのシエラレオネからガーナにかけての森林にすむ,ごく小型のアンテロープ。ほぼウサギ大の本種はアンテロープ中もっとも小型であるばかりでなく,有蹄類中の最小種である。英名のroyalは,現地人が本種をウサギの王さまと呼んでいたことによる。四肢は細長く,腰が肩よりも高い。体色は体の背面が暗褐色,側面は赤褐色,四肢の内側と腹側が白色。雄にのみある角は小さく,長さ1~2.5cm。目は大きく目だつ。体長50cm前後,肩高25~30.5cm,尾長7.5cm前後,体重3~4kg。乾燥地の茂みにすみ,ほとんど飲み水を必要としない。暑い日中は茂みで休み,夕方から活動して,草や灌木の葉を食べる。体色が枯草の色と紛らわしく,茂みに伏せてじっと動かずに身を隠す習性がある。気づかずに近づくといきなり飛び出し,小さな体に似合わぬひととび2.8mもの跳躍で走り去る。畑地に入って作物を荒らすことがある。繁殖習性についてはあまり知られていない。
レイヨウ
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のローヤルアンテロープの言及

【レイヨウ(羚羊)】より

…体は灰褐色,赤褐色,オリーブ色などで,すべてアフリカ産。ごく小さくほぼウサギ大のローヤルアンテロープNeotragus pygmaeus,眼下腺の麝香臭がきわめて強いジャコウアンテロープ(スニ)N.moschatus,やぶにすみ木の葉を主食とするキルクディクディクMadoqua kirkii,岩場にすみ6mも跳びはねるクリップスプリンガーOreotragus oreotragus,なわばりに強い執着を示すオリビOurebia ourebi,行動圏の各所に糞で目印をつけるといわれるスタインボックRaphicerus campestris,荒れた岩山にすみ,一つの丘に一つの群れしか見られないといわれるベイラDorcatragus megalotisなど6属13種がある。 なお,レイヨウ類のうち,とくに姿の美しい砂漠にすむガゼル類約15種を除いた残りだけをアンテロープと呼ぶことがある。…

【レイヨウ(羚羊)】より

…ウシ科の動物のうちスイギュウ,ヤギュウ,カモシカ,ヤギ,ヒツジの各類を除いたものの総称といえる。 体の大きさは変化に富み,最大はクロクビイランド(ジャイアントイランド)Tragelaphus (Taurotragus) derbianus(イラスト)で,体長3.45m,尾長90cm,肩高1.8m,体重1000kg,角長1.2mに達するが,最小のローヤルアンテロープ(イラスト)では体長40~50cm,尾長5~8cm,体重3~4kg,角長2.5cmにすぎない。多くのものは草原,砂漠,ときに森林にすみ,体つきは走行に適して胴と四肢が細く,あごが長く,頭を高く保っている。…

※「ローヤルアンテロープ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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